【円高】なぜ震災にも日本の円は強かったか『池上彰のお金の学校』

お金の学校池上彰
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「その国は危険だ」と

他の外国にそう判断されると

その国のお金は売られて

価値は下がってしまいます。

日本なら「円安」と言って

円の価値が下がってしまうことになり

外国のものを高く買わなければ

ならなくなります。

日本は輸入に頼っているので

経済はある部分苦しくなる事が

出てきます。

しかし、2011年に未曾有の大震災に

襲われた時にも

日本は大変な円高になりました

その理由を

本書では解説していますので

紹介します。

未曾有の災害の後でも円高になる理由

大ダメージを受けた日本

日本では2011年に東日本大震災が

起こり、

「日本は大丈夫なのか?」と

思われるようないろんな意味で

大ダメージを受けました。

たくさんの人の命が奪われ

工場は破壊され、

道路や水道など社会的な

インフラはめちゃくちゃになって

しまいました。

もちろんそうしたダメージは

「経済」に大きな影響を与えました。

復興財政危機

復興のためには多額のお金が必要で

それを捻出するには

増税したり、復興国債を発行する

しかないと思われましたが

増税すれば景気が悪くなり

多額の財政赤字を抱えたまま

さらに国債を発行すれば

日本の国債の信用度は落ちてしまい

日本の経済にはマイナスに

なりかねません。

世界中のお金が日本で「雨宿り」

普通に考えれば、

大震災の後、

日本の通貨である「円」は

大暴落してもおかしくなかったのに

現実には

大変な円高になりました。

これには長期的理由短期的理由

あると著者は言っています。

長期的な理由は、世界中が

金融不安を抱えていたからです。

グリーン・ニューディール政策

2008年に発生した

「リーマンショック」以降

アメリカの経済は最大手の

自動車会社であるGMが

破綻したのを筆頭に

危機的な状況に陥りました。

これに対して

オバマ政権は

景気を立て直すために

「グリーン・ニューディール政策」を

打ち出します。

これは政府が積極的に

資金援助をすることで、

環境保護事業を中心とした

新しい事業をどんどん立ち上げ

景気を立て直していこうと

したのです。

なんだか

1929年からのアメリカの

急激な不景気時に

当時の大統領のルーズベルトが行った

「ニューディール政策」に

似ています。

その時も公共事業を増やし

国が面倒をみる形で景気を

回復させました。

投資家は「ドル安」を恐れた

このことでアメリカは財政支出が

劇的に増えました。

そして、

その多額の現金を調達するために

大量に国債を発行しました。

それを見た、投資家たちは

「アメリカ経済はやばいかも…」と

思い始め、

大量の投資資金がドルから逃げて

出しました。

国債が急にたくさん発行し始めたり

国債の高金利になると

「この国やばい!」という

指標となることがあるからです。

ギリシャの財政破綻問題

では、ドルを捨てて次はどちらへ

行くかというと

ユーロ圏になります。

多くの投資家が

「ドルを売ってユーロを買おう」と

なるのですが

しかし、

ユーロも怪しい感じがありました。

この頃ギリシャは政権交代があり

その時に財政赤字が明るみになり

ユーロ圏全体が金融不安を抱えるように

なりました。

ドルもだめ!ユーロもだめ!で

次に消去法で「円にするか」と

なったのです。

いろんな世界の事情が重なって

震災後であるぼろぼろの日本であっても

「まだマシ」認定を世界の投資家から

受けることになります。

これらは長期的な円高理由です。

ドル・ユーロの次が「円」の理由

ドルがだめ!でユーロがだめ!

その次はどうして「円」なのでしょう?

それは

「大量に出回っている」がその理由。

買いたい時に買えて、

売りたいときに売れるからです。

オーストラリアドルや

カナダドルなどは値動きもそこそこで

安定感がある割に

金利も結構高くて、投資対象として

優れていますが

リーマンショックのような

外部要因によって値が下がり始めると

売りたいと思っても買ってくれる人が

すぐ見つからない可能性があります。

その危険性は通貨の「扱い量」が

少ないほど増していきます。

言い換えると

世界でその通貨が使われている量が

少ないと「買いたい」という人も

少ないということになるからです。

ちなみに今の経済発達から

考えると中国の“人民元”も良さそうに

思いますが

規制が厳しく、

一旦“人民元”を買っても

それを簡単にドルやユーロに換える事が

できるかどうか不安があるからです。

中国共産党の方針転換でどんな規制が

生まれるかも知れず、

リスクが高いのでまだ「円」を

買われているのです。

莫大な地震保険金の調達

では短期的な円高理由は

これだけの大震災なので

日本経済は大打撃を受けて

「円安」になると考えるところですが

金儲けのプロにヘッジファンドは

地震保険の保険金が莫大な金額に

なり、

到底国内だけではその資金の調達は

できないと考えて、

不測の事態のために行っている

海外でドルやユーロを買い

運用しているものを売り

「円」を調達するのでは

なかろうかと考えたのです。

各企業も海外で運用していた通貨を

「円」に変え

復興に充てるため「円」の

需要が増えると予想したのです。

実際は、国内で現金を集める事が

できたので

ヘッジファンドの

予想通りにはいかなかったのですが

実際どうであるかはあまり

関係がなく

「みんなでそう思った」というだけで

「円高」になるのです。

ヘッジファンドは「円」を買い込み

急激に「円高」になっていきました。

しかし、

これらは先進国特有の動きで

「海外の資産を売って自国通貨に

 するのでは…」的な発想は

実際、日本企業が海外に資産を

持っているからなのです。

もし、アジアの発展途上国で

同じような大災害が起きても

その国の通貨が上がることは

ないのです。

ほぼ、確実に暴落します。

「海外の資産を売って…」という

発想にはならないからです。

池上彰
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