変異株でもワクチンは効くの?『新型コロナワクチン本当の「真実」』宮坂昌之著

新型コロナワクチンの真実新型コロナワクチンの真実
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ワクチンを打っても

感染している人がいると聞くと

「もしかして、変異株のせい?」と

思わず言ってしまうくらい

巷では言われています。

では、

本当のところはどうなのでしょう?

やはり、

変異株には効かないのでしょうか?

本書ではそのことにも触れているので

紹介します。

ワクチンはデルタ株にも有効

著者は新型コロナワクチンは

変異株にも有効だと言っています。

「抗体」を使ってウィルスを集中攻撃する

ワクチン接種の目的は

「抗体」を作ることであります。

では、

この「抗原」「抗体」とは

どういうものなのでしょうか?

「抗原」とは、われわれの免疫系が

他者を認識する「目印」のようなもので

その目印に選択的に結合する(挑む)のが

「抗体」です。

すでに抗体がある場合などは

「今度来たらタダでは済まんぞ〜」と

待ち構えていますが

敵が見分けられなければ

戦う気があっても話になりません。

なので

ウィルスの特徴を記憶するにあたって

この「抗原」(ここではウィルス)の

目印を覚えておいて

自己か他者(病原体)を見分けることが

できているのです。

ウィルスの表面や内部には

「抗原」となりうるタンパク質が

多数あり一種類ではありません。

新型コロナウィルスの場合

細胞に取り付くウィルスの“足“

スパイクタンパク質が1200個の

アミノ酸によって作られています。

私たちの細胞にある免疫系は

このスパイクを「抗原」としてとらえ

反応して敵が来たことを

「抗体」という強力な兵士軍団に

知られるのです。

ここで「抗体」という強力な兵士を

準備して置けるのがワクチン接種なのです。

自然に感染した場合も

最終的には「抗体」でやっつけますが

来たウィルスと小兵隊たちが戦いながら

奥(T細胞やB細胞)で

「抗体」を作らなければならないので

初めてかかると

治癒に時間がかかってしまうのも

納得できます。

自然に感染した場合も「抗体」が

ある一定期間残るので

次回はウィルスの侵入を容易に

許すことは少なくなります。

目印が複数あることで多少の変化には対応できる

新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は

1200個ものアミノ酸からできていると

書いてありますが

1200個もあるものをどう認識する?と

思いきや

私たちの免疫系は

スパイクタンパク質全体を

認識するのではなく

スパイクタンパクを構成する

アミノ酸の並び方を見て

自分かそうじゃないかを

認識しています。

このアミノ酸の並び方は

5〜8個です。

でも、多数あることには

かわりありません。

私たちの免疫系は多数の目印に

一度に反応しています。

なので、

少数の目印に変異が入っても

残りの「目印」が残っていれば

相変わらずウィルスを排除できる

可能性が高いと

著者は言っています。

従来のワクチンでも

接種していれば絶対にかからないと

いうことはないですが

症状は軽く済む人が多いのも

そのせいかもしれません。

そして、免疫がなく

初めましてのウィルスでは

抗体を作るのに遅れが生じます。

ワクチン接種をして「抗体」を

あらかじめ作っておくと

対処が早くなるのも「抗体」ができる

メカニズムを知れば

頷けます。

そして、「抗体」を作らなければならない

ということは

それだけ

ウィルスが強烈であるということも

示唆しています。

このように変異株にも有効だとは

わかりました。

では、実際はどうなのでしょうか?

ワクチン2回接種で変異株でも高い有効性

本書では

医学雑誌『Lancet』の論文からの情報から

ファイザー製のmRNAワクチンを

2回接種した場合、

デルタ変異株に対する感染抑制効果は

79%であると言っています。

アルファ変異株が92%の効果なのに

比べると低いですが

効果が極めて高いとしています。

英国公衆衛生庁の発表では

ファイザー製のmRNAワクチンを

2回接種した場合、

デルタ変異株による入院を

96%も抑制し

アストラゼネカ製のワクチンを

2回接種した場合もお92%の

重症化防止効果があったそうです。

デルタ変異株を抑制する効果が

多少下がったとしても

これだけ重症化を防げるのなら

変異株に対してもワクチン接種の意義が

あると言えるでしょう。

イギリスの研究グループも

ファイザー製ワクチンまたは

アストラゼネカ製のワクチンを

一回接種しただけだと

発症予防効果はアルファで48・7%

デルタで30・7%でしたが

2回接種すると発症予防効果は上がり

ファイザー製ワクチンで

アルファ株では93・7%

デルタ株で88・0%

アストラゼネカ製で

アルファ株で74・5%

デルタ株で67・0%の有効率でした。

つまり

2回接種するとデルタ株であっても

かなりの確率で予防できるという

データとなっています。

こうしたデータから

感染予防策を講じながら

ワクチンを2回接種していけば

デルタ変異株でも

予防できるということです。

さらにカタールで流行している

南アフリカ変異株(ベータ)についても

ファイザー製ワクチンが有効であるとした

『New England Journal Medicine』誌に

出ているものを

本書で参照されています。

それによると

アルファ変異株では89・5%

南ア型(ベータ)には75%と

やや下がるものの効果はあり

重症化予防に関しては

95%という

高い効果を示しているようです。

これらの結果、

変異株であってもmRNAワクチンは

高い感染予防効果、重症化予防効果が

ワクチン接種には期待できると

いうことです。

「抗体」だけが免疫(攻撃力)でない

ちなみにワクチンを接種することで

「抗体」(液性免疫)を作るだけではなく

他の免疫(自然免疫、細胞性免疫)も

活性化されるため、

標的を定めることが薄れても

全体的な攻撃力が上がることも

ワクチンの効果だと言えると

著者は言っています。

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