【感想】下人はなぜニキビ(面皰)を触るのか?羅生門 芥川龍之介著

芥川龍之介 羅生門羅生門
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子供に

「ニキビを触らない!

余計ひどくなるから…」と散々注意

していたときに

いつも頭の中にこの『羅生門』の話が

浮かんでくる。

この本を読んでいるとやたら

この作品の登場人物の下人が

やたら、ニキビを触る描写が

出てくるからだ。

この本をもう少しちゃんと読み進めて

いって、下人の心理が判れば

「どうしてもニキビを触って

しまう人」の心境がわかるかも?

と思いながら再度

読んでみました。

羅生門とは

羅城門とは

平城京、平安京の都城を囲む城壁の門のことで

都の外の通ずる門なのでしょう。

都で長年勤めていた屋敷を

首になり、明日からどうやって

暮らして行こうかと思案している下人が

雨宿りをしているところから

物語は始まるのですが

その門の辺りも寂れて

獣やカラス、死体などが辺りに

おかれたりして

この時代の衰退ぶりを絵に描いた

ようなところでした。

ぼんやり、ニキビを触っている

下人は七段ある石段の一番上の段に

洗いざらした紺の襖の尻を据えて

右の頬に出来た、

大きな面皰を気にしながら

ぼんやり雨を眺めていた。

羅生門 芥川龍之介著

この時は、とりとめもない考えごとを

しながらボーとしていたようなので

手持ち無沙汰で痛痒いニキビでも

触りましょうかって感じでしょうか?

赤く膿を持った面皰を照らす老女の火

羅生門の楼から火の光が見える。

獣や肢体しかいないと思っていたのに

どうしてなのか?

そっと覗くと死人の髪の毛を

引っこ抜いている老婆に

遭遇する。

それをみた下人は始めは怖かったが

だんだんこの悪質な老婆を憎む心が

燃え上がってきた。

さっきまで下人自身も餓死するか

盗人になるか考えていたのに

そんなことはすっかり忘れてしまって

いたのです。😆

“赤いニキビが松明の火で揺れる“と

表現しているのが印象的で

この正義感を生々しく表している

描写なのでしょうか?

このシーンでは触っては

いないようですが

ニキビの状態はあまり良くない

ようですね。

老婆の言い訳を聞きながら面皰を気にする

これで3回目の下人のニキビの描写。

今回は“勿論“もついている。

著者もわかって繰り返し使っているんですね。😆

「成程な、死人の髪の毛を抜くという事は

何ぼう悪い事かも知れぬ。

じゃがここにいる死人どもは皆

それ位な事は、されてもいい人間ばかり

だぞよ。

(中略)

わしは、この女のした事が悪いとは

思うていぬ。せねば餓死をするのじゃて

仕方がなくした事であろ。

さらば、今又、わしのした事も

悪い事とは思わむぞよ。

これとてもやはりせねば餓死をするじゃて

仕方がなくする事じゃわいの。

じゃて、その仕方がない事を

よく知っていたこの女は

大方わしのする事も大目に見てくれる

であろ」

羅生門 芥川龍之介著

今度は

老婆の言い訳を聞きながら触っている。

この話を聞いて下人は勇気が出てきます。

さっきの悪を成敗する正義感ではなく

反対方向の勇気なのです。

餓死するからという老婆の言い分を

あざけながら

老婆のきている着物を剥ぎ取ったのです。

さすが、

こんな餓死寸前の栄養状態で

ニキビを作っている血気盛んな

男だけあります。

不意に右の手から面皰を離して

老婆の襟上をつかみながら

噛みつくようにこう云った。

羅生門 芥川龍之介著

「恨まないよな。そうしなければ

俺も餓死してしまうもんね。」と

いった感じでしょうか。

しかし、ここでもちゃっかり4回目の

面皰が登場ですよ。

私が『羅生門』=ニキビと思っても

仕方がない!

この時は、高揚していた様子なので

ニキビを触る定義としては

意気揚々とし「今からやってやるぜ!」

と待ち構えているときにも

ニキビを触るってことでしょうか?

まとめます

4回のニキビの描写は作者(芥川龍之介)が

意図的に

書いたのは間違い無いのですが

老婆の話を聞いて勇気が出て

目の前の人の追い剥ぎをするって

どうゆう心境なのかと

思いましたが

その時、口では

「やらなきゃ餓死しちゃう」と言いながら

本当は、そんなことは意識外になっていたと

書いてある。

そして瞬く間に夜の底へかけ下りたと

そして、下人の行方は誰も知らないと

結んでいる。

老婆が言った

「生きるために悪い事もいとはないし

それは許される」を聞いた途端

反対の方に勇気がでたという事は、

今までボーとただ運命に

流されていた状態から

主体的に生きて行こうとする

下人の勇気がここで出来たのかも

してません。

そしてニキビは

どうしてやろうかと

手持ち無沙汰になってる時や

ことがすんなりいかず

ちょっとイライラした時、

何かを決心して

生きることに貪欲で執着している時には

やたら触ってしまうものなのかなあ

思いました。

主人公のそれを表現するために

「ニキビ」が使われたのかなあと

勝ってに私なりに解釈しています。

羅生門
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