理由のない「謝罪」や「感謝」の効果『伝える力』池上彰著

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2021年の夏はコロナ禍ではありましたが

無事、東京オリンピックを開催することが

できました。

日本が獲得したメダルも過去最高の

数となり

毎日、テレビを見ながら

“ステイホーム“をしている

人が多いのではないでしょうか。

そんな中、勝利した人も

負けた人もインタビューでは

「感謝」や「謝罪」をする選手が

多かったように思います。

この連日応援してくれた人への

配慮のあるこのスポーツマンたちの言葉が

ビジネスにおいての“危機管理“と

通ずるものがあると

著者は本書で書いています。

なぜ

選手たちの「感謝」や「謝罪」のような

態度がビジネスパーソンにも

必要なのでしょうか。

理由のない「感謝」と「謝罪」の効果

何か悪いことをしてしまったら

当然、謝らないといけないし

無理に融通をつけてくれたなら

感謝の気持ちを伝えなければ

ならないと思いますが

特に何も悪いことをしていないし

当然の権利を行使しただけでも

「謝罪」したり「感謝」しないと

いけない場面があります。

負けた選手に謝って欲しい感情

著者は2006年に行われた

サッカーのワールドカップを例にあげて

応援する日本人の感情について

説明しています。

ドイツで開かれたサッカーの

ワールドカップで、

日本は第一試合、オーストラリアに

1対3で逆転負けてしまいました。

応援していた

日本人の口元から深いため息が

漏れました。

当時、

日本の多くのファンは眠たい目を

こすりながら

テレビに釘付けになっていたからです。

そんなファンを尻目に

淡々と負けたことを話す選手に

なんとなく不快に思った人がいた

ようです。

極端な人などは

「応援してくれた日本の皆さん、

 すいませんでした。

 次はもっとしっかりやります。」

ぐらい言って欲しかったと

いう人もいたようです。

理屈で言えば、

何も日本の視聴者向けに

「すいません」などと謝る必要など

ないのです。

一生懸命やったのは

間違いないし、その結果

負けてしまったのですから

悪いことは何一つないのです。

しかし、

日本でゲームを楽しみにして

深夜に眠気を抑えて

固唾をのんで応援していた身としては

なんとなく、訳などないけれど

謝って欲しいと思ってしまう場面であると

著者は言っています。

これは、負けたことが

いいとか悪いとか言った

問題ではないのです。

これは日本的な感性なのかも

しれません。

本当に悪いことをしたわけでも

ないので

負けたからと言って「謝る」

必要は全くないのです。

なので

淡々と負けたことを報告するのは

当然と言えば当然なのです。

なのに

「期待に応えられず

 すいませんでした」という

言葉を欲しがってしまうのです。

負けた後「謝罪」した効果

この例とは逆に

フィギアスケートの選手であった

渡辺絵美さんの例をあげています。

彼女も日本の国民から

注目されていた選手でした。

冬季オリンピックでは

転倒してしまい、

メダルを

取ることができませんでした。

その時彼女は終わった後

「ごめんなさい」と言いました。

この時、応援してくれている人は

「期待してたのに、メダルが取れなかった

 じゃないか」と

落胆し、なんとなくカリカリしていた

様子でした。

これも理屈から言えば

彼女の知ったこっちゃないのですが

でも、ここで謝ったことで

日本の雰囲気がガラリと変わりました。

「頑張ったのだらか、そんな

 謝ることじゃないよ」

「よくやったじゃないか」といった

好意的な雰囲気がメディアも含めて

一瞬で多数派になったというのです。

逆に謝られたことを反省することに

なったのです。

もし彼女が淡々と負けたことを

語るだけだったら

多くの人はそのことを残念な言い訳と

受け止めたかもしれないと

著者は言っています。

一言謝られると

なぜか、納得してなんとなく許してしまう

不思議なことに…

“許す“というのもおかしいし

負けた悔しさもあるのに

他人のことなど

気にしている場合じゃないのが、

本当のところですが

それを押し殺して

応援してくてた人に「感謝」を込めた

「謝罪」ができる選手が彼女だったのです。

このようなことは海外では

ほとんどなく、

日本的なことで

多くの日本人がこのような感性を

持っていると言えるのです。

「謝罪」することに躊躇しない資質

そう考えると、

一般のビジネスシーンでも

「ごめんなさい」「すみません」の

一言をこだわることなく言えることの

大切さがわかるような気がします。

例えば、法令に違反するような

悪いことや

悪いことをしたわけではないけれど

周囲の期待に応じれなかった時にも

「謝る」ことで反感を買ったり

問題が大きくなったりすることを

未然に防げることもあるのです。

「正しいか正しくないか」とは別に

「今、何をいうべきか」を判断する

能力は

ビジネスパーソンに求められる

資質と言えるのです。

まとめます

国を代表して出場するような

選手はプレーだけではなく

試合後の言葉にまで気を配らないと

いけないのが大変だと思いますが

一流と言われる選手にとって

試合後の

応援してくれている人たちに

向けた言葉までもが

プレーの一部なのです。

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