法律では裁けない「けしからん罪」『伝える力』池上彰著

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日本の庶民感覚では

ぼろ儲けした人に対して

ちょっと不快な感情を抱くことが

多いのです。

アメリカでは儲ければ儲けるほど

褒め称えられているのですが

日本では、

“濡れ手に粟“でぼろ儲けすると

まるで、何か犯罪を犯したかのように

糾弾しようとします。

それは理屈ではないのです。

日本にはそういう法では裁けない

「けしからん罪」があるということを

本書では紹介しています。

成功しても嫌われる人とは

この「けしからん罪」を犯してしまうと

成功しても人からは疎まれてしまうのです。

法では裁けない「けしからん罪」

著者は成功しても嫌われてしまう人は

「けしからん罪」を犯していると

言っています。

日本には「けしからん罪」と言って

法律上は違反していないので

裁くことはできないのですが

何となく

“けしからん“と思われた行為や人は

弾圧されてしまうことがあります。

これは理屈ではなく

庶民感情なのですが

そういった風潮が日本にはあるのです。

なんか嫌な感じ、けしからん感じという

感覚、空気です。

「村上世彰発言」からけしからん罪を見てみる

著者は2006年に

証券取引違反(インサイダー取引)をした

容疑で逮捕される数時間前に行った

村上世彰さんの記者会見の様子を

あげながら

好感度の下降がなぜ起こったか

説明しています。

村上さんは“もの言う株主“として

自分のお金を

増やすことだけに関心があって

投資子た会社には興味がなく

黙ってお金を投資している

投資家とは一線を画いていて

世間からの好感度は高かった投資家

でしたが

この事件に対しての

記者会見で潔く自分の責任を認め

他者に責任を押し付けない様子は

好感が持てたのですが

そこから一転して

世間の印象が悪くなったのは

思わず言ってしまった言葉からでした。

皆さんがぼくのことがすごく嫌いに

なったのは、

むちゃくちゃ儲けたからですよ。

2000億(円)くらい儲けたんでは

ないでしょうか」などという発言が

口から出てしまった。

『伝える力』池上彰著

村上さんは

「お金をたくさん儲けた」ことに

一般大衆は不快を示したと思ったので

このような発言をしてその不快の原因は

印象の問題だと言ったのです。

著者は

「全て自分が悪い」

「お縄は甘んじて受けます。」と

言っているまではよかったのですが

上記のようなことを発言してしまうと

アメリカでは「儲けた人が偉い社会」なので

この発言もさほど問題ないどころか

「むちゃくちゃ儲けました」と言えば

拍手喝采を浴びるので良いのですが

日本では違うと著者は言っています。

大儲けした人がいれば日本では

大体は次の二通りの反応になると

言っています。

「うらやましい」という前むきな感情

これは、自分もそうなりたいという

気持ちが背景にあって

さらには「頑張ろう」という

前向きな姿勢につながるとすれば

ある意味、良いことなのかも

しれません。

「ずるい」という嫉妬の感情

「なんだ、アイツばっかり儲けて

 いい思いをして、ずるいじゃないか」

そう思って、

その人の足を引っ張りたくなる感情に

陥ることがあるということです。

これは、いわゆる嫉妬というものです。

これは良いこととは

言えないでしょう。

しかし、現実は多くの日本人が

多かれ少なかれ持ってしまう感覚です。

「嫉妬社会」の側面を持つ日本では

例え、上手くいったとしても

それは声を大にしていうのは

慎むのが得策なのです。

成功しても愛される人とは

同じように、

業績があり、事業が成功したとしても

愛される人と疎まれる人がいるのは

この謙虚さがあるかどうか

その程度の差にあるのです。

成功しても「みなさんのおかげです」と

言える人と

「俺の才覚でここまでできた

 すごいでしょう」という雰囲気で

振る舞う人とでは

成功したときの人々の態度が変わるのです。

成功すれば人になんて言われようが

構わないという人もいるかもしれませんが

村上さんも

「私が儲けているから嫌いなんでしょう」と

公の会見で言ってしまうのは

そんなことで

「嫉妬してしまう」人々に対して

揶揄してしまったのです。

このように

日本では「けしからん罪」があり

法律では罰することはできませんが

世論からは排除されてしまう罪が

あるのです。

投資家にとって

「世論操作」が大切なことから

刑罰を受けるよりも

世間からのバッシングの方が

ダメージは大きかったのでは

ないでしょうか。

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