いつも同じ傾向の本を読んでしまう理由『座右のゲーテ』斉藤孝著

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読書したいと思った時

その本の選定はどのようにしている

でしょうか?

なぜか、

いつも同じ作家のものだったり

同じジャンルのものだったり…

知らず知らずのうちに手に取った本が

いつも同じ傾向のものになってしまう

そのわけを本書で語られていますので

紹介します。

同じ傾向の本を読んでしまう理由

著者は違う趣味の本から離れることは

“冒険“と言っています。

読書は新しい知人を得るに等しい

本書はゲーテの残した言葉を

引用し著者が考察しながら、

現在でも通じる教訓の

ようなものを紹介しています。

書物は新しい知人のようなものである。

初めのうちは、大体において一致し

わたしたちの存在の何らかの

主要な面で親しく触れ合うのを

感ずれば、それで大いに満足している。

やがてもっとよく知り合うと

ようやく差異がはっきりしてくる。

『座右のゲーテ』斉藤孝著

ここでゲーテが言っているのは

最初は書物に書かれた思想に

呑み込まれて、

書き手の説や考えに同意する点が

多いと感じるのですが

しばらく経つと

他の書物を読んだり

人の話を聞きにつれて

自分との考えの違いに気づいたり

自分と書物との差異を感じるように

なることがあります。

共感を得られるの読書

そのように感じる「読書」を

ゲーテは勧めています。

書物の選択の段階で

自分との考え方に差異があるものを

選ぶのはなかなか難しいです。

特に女性は読書に共感を求めることが

多いと著者は言っています。

確かに、私もそうですし

女性は何かと

“共感“されたい生き物かもしれません。

自分が思っているようなことが

書かれている書物が好きなのです。

中年男性もその傾向にあるようです。

読書の感想として

「俺は前からこう思っていた」みたいな

思いをしながら読むのが

読書の楽しみでもあるのです。

読書をするなら

知らないことを教えてもらえたり

発見したりすることが

醍醐味であり、感動でもあり

読書の目的のはずなのですが

著者は

大体の人はすでに自分の中にあるものが

再現されているものを確認し、

この書物によって

自分を肯定された気分になるといった

読書になっていると言っています。

自分の趣味に合う本を読んでいると

抵抗なくスラスラと読み進めることが

できます。

本書の著者の斉藤孝さんの本は

どの本も読みやすく、

著者の言いたいことだけをなんとか

言葉に紡いで載せているといった

感じではなく

読者に読みやすくするには

どうすれば良いかまで考えて

書かれていることが伝わるような

文章が多いのです。

差異のある内容の読書

ただ、

心になんの抵抗感もなく入ってくる

文章からはなかなか抜け出すことが

できなくて

いわば、

“守りの読書“になってしまうのです。

著者は

それを世界が広がっていかない読書だと

懸念しています。

著者の場合は、音楽にも

それが言えると言っています。

どうしても若い頃、

レコードで聞いていた曲をCDでまた

聞いてしまうとのことです。

しかし、読書に関しては

それを打破しようと言っています。

“守りに入らない“ということですね。

著者は女性の作家ものを読んでみる

ことにしているようです。

男性作家が描く女性像は男の幻想で

書かれたものだということが

女性作家の描く女性との差異で

理解できたということです。

そうとはいえ、最初は違和感があったに

違いありません。

こういうふうに違和感を感じながらも

読んでいくと

それが心地よい抵抗感になっていくと

著者は言っています。

出会うことも話すこともない人に会える

金原ひとみ『蛇にピアス』などは

表題からして痛そうで抵抗があった

ようですが

このような自分の守備範囲でない本を

最後まで読むことによって、

歳をとって少し狭くなってしまった心を

広げれるというのです。

今までの価値観を守ろうと

違和感のあるものを否定して排撃してしまう

のですが

これからの読書は

「自分ならこれは読まないな〜」という

ようなものを

読んで心に柔軟性を取り戻せる

読書もいいのかなと思います。

著者は実際には

舌を蛇のようにふたつに割った

若者をみることも

話すこともないかもしてませんが

読書を通じて

そういう人とも触れ合うことが

できるのですから

読書はまさに新しい知人を得ることに

等しいのです。

座右のゲーテ
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