腸の長さと脳の大きさを決めた火の役割『サピエンス全史 上』ユヴァル・ノア・ハラリ著

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人類らしきものが登場してから

他の動物よりも性急に

食物連鎖の頂点に君臨する

ことになりました。

他の動物が数百万年かかって

守ってきたこの頂点を

10万年ほどで駆け上がった

人類の重大な一歩は

火を使うことができたことでした。

このことが、どれほど

他の動物よりも有利だったか

また、

火が人類の進化にどう関わったか

本書では解説されているので

紹介します。

火を使い始めた人類

一部の人類は早くも80万年前には

火を使っていたかも知れないのですが

約30万年前には、人類の祖先は

日常的に火を使っていたようです。

そのおかげで

火力を調節できれば

不毛に生い茂った藪を

獲物が豊富な草原に変えることが

できたのです。

そして、石器時代の人になれば

くすぶる焼け跡を歩き回って、

うまく焼けた動物や木の実、

イモ類などを収穫できたようです。

最大の恩恵は調理が可能になったこと

食べるものを加熱することができた

ことが火を使う最大のメリットで

小麦や米、ジャガイモといった

そのままでは人類では消化できない

食べ物も

調理のおかげで主要な食料となりました。

確かに安定して暮らすためには

安定した食料の供給が必要に

なります。

動物だけを捕食していた頃より

火を使うことによって

食べれるものが増え、

危険な狩りをする機会を減らすことも

できるでしょう。

この食物の化学的性質だけではなく

火で調理すれば

食物についていた病原菌や寄生虫を

殺すことができたのです。

私たちも日頃、豚にくなどは

「よく火を通して食べるように」と

言われてきたので

これはよくわかりますし

この時代に人類はすでに

ものを考える“知識“がついている

ようです。

また、

果物や木の実、昆虫、死肉といった

従来から好まれていた食物も

調理をすれば

噛むのも消化するのも容易になり

チンパンジーが一日5時間も

生の食べ物を噛んでいるのに対して、

調理した食物を食べる人間は

1時間もあれば十分に食べることが

できました。

調理をすることによって

より多くの種類を食べれるように

なったり、

食事にかける時間を

減らしたりでき、

小さな歯と短い腸で事足りる

ようになりました。

調理が始まり、

人類の腸が短くなったり

これだけのことが考えられるほど

脳が大きく発達したことには

直接の関係があるという

報告もあるようです。

長い腸と大きな脳との関係

長い町であったり、脳が大きかったり

すると、

それだけ

大量の消費エネルギーになるので

両方維持するのは難しくなります。

調理によって腸を短くし、

そのエネルギー消費を減らせたので

ネアンデルタール人とサピエンスには

脳を巨大化することが

できたようです。

自然の力を制御することはできない

ほぼ全ての動物の力は筋肉の強さや

歯の大きさ、翼の幅など、

自らの身体を拠り所にして

生き残るため進化していきました。

しかし、風や水の流れを利用することは

あっても制御することはできません。

なので、どうしても自らの

身体的構造の制約を受けます。

例えば、ワシは、上昇気流を見つけ

大きな翼を広げ、

上空に運んでもらうのですが

どこに上昇気流が発生するかは

制御できません。

人類は火を手懐けた時

潜在的に無限の力を

制御できるようになりました。

そして、ワシと違い、

人類はその火をいつ、どこで火を

起こすかを選ぶことができ、

また、火をさまざまな目的で

利用することもできまいた。

火の力は制限されることがない

そして、

最も重要なことは

火の力は、

人体の形状や構造、強さによって

制限されてはいませんでした。

たった一人の女性でも

火打ち石か火起こし棒があれば

わずか数時間のうちに

森を全部焼き払うことも可能でした。

この火が来るべきものの前兆だったと

意味ありげな言葉をこの章では

著者が残しています。

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