【感想】④惨めで浅ましい、恐ろしくゾッとする悲惨な子供『クリスマス・キャロル』ディケンズ著

クリスマス・キャロルクリスマスキャロル
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第三章では、主人公スクルージの元へ

第二の使者が訪れる予定です。

もう、スクルージはそのことに

抵抗せず、少しずつ変わっている

自分に気づき、むしろ

この幽霊の使者達に導かれる

ことを素直に望むように

なってきています。

マーレイがよこした第二の幽霊は

どのような光景を見せてくれる

のでしょうか?

あらすじ

イギリスの文豪、

チャールズ・ディケンズの作品。

1843年に発表。

冷徹でケチな主人公スクルージが

クリスマスに訪れた三人の幽霊に

過去、現在、未来の自分の知らない

自分を囲む人々の様子を見せつけられて

改心していくお話。(簡単に言えばね😉)

現在を見せてくれるクリスマスの幽霊

“過去“ や“未来“を見せてくれる

幽霊はなんとなくわかります?が

“現在“を見せてくれる幽霊とは

どういうことでしょう。

書記のボブ(ロバート・クラチット)の家のクリスマス

ボブは1週間にたった15シリンジの収入しか

スクルージからもらっていない。

そんな家のクリスマスを祝福しに

この“現在のクリスマスの幽霊“は

やってきたに対して

一緒にやってきたスクルージは

不思議がります。

この幽霊は貧しい者へひとときの

幸福をもたらすために

めぐっているにですから

当然、ボブのところにやってきても

不思議ではありません。

そして、その光景は貧しいながらも

幸せそうでした。

ただ、一つのことを除いては…

足が不自由なティム坊や

ささやかながらも家族と幸せに暮らす

ボブの様子を見てスクルージは

幽霊に尋ねます。

かつておぼえたことのないような

興味をもって眺めていたスクルージは

「幽霊さま、ティム坊は長生きするので

 しょうか?

どうでしょう?」とたずねた。

ボブの末っ子の息子のティムは

足が不自由でもう長くは生きられないと

幽霊はスクルージに教えます。

それを聞いて

スクルージは

「どうかあの子を助けてほしい」と

懇願するのです。

スクルージもだいぶん変化して

きましたね。

二章での出来事、ベルの件などは

相当、堪えたのかもしれません。

そこで幽霊が少し意地悪を言います。

哀れな余計な者の人口は減らすべきだ

かつて、(第一章)寄付を拒み

貧しい者や哀れな者は救貧院や監獄に

行けばいいと言い捨てた

スクルージに対して

「あの子が死にそうならその方が

 結構ではないか。

 余計な人口が減るわけだからね。」と

幽霊に言われてしまいます。

スクルージはうなだれ、後悔と悲しみで

いっぱいになる様子を見て

幽霊もここと言わんばかり

叩きこむように言い捨てます。

「人間よ、もしお前の心が石でなく

人間なら、余計とは何であるか、

どこに余計なものがあるのかをはっきり

わきまえるまでは、

この悪い文句をさしひかえるがよい。

どんな人間を生かし、どんな人間を

死なせるかお前に決められると言うのか?

神の眼には、

この貧しい男の子供何万人よりも

お前のような人間こそ生きていく

値打もなければ、生かしておくに

相応しくもないのだぞ。

草の葉の上の虫けらのくせに、

塵の中で空腹にうごめく同胞たちの数が

多すぎるなどとよくも

言えたものだ!まったく、

とんでもないことだ!」

この物語の辛辣なところが出ています。

スクルージが弱者を排除しょうとする

感情を抱いていた時と

今とでは心情は変化しているのですが

あの息巻いていた第一章のスクルージに

この言葉を言ったところで

刺さることはなかったでしょう。

こうやってスクルージをとことん

後悔させることで、第二の幽霊は

スクルージを救おうとしている

のでしょう。

そして

このようにとことん

“自責の念“に駆られている

スクルージのために

書記のボブも甥のフレッドも

クリスマスのご加護がありますように

と祈ってあげます。

そのことはそれぞれの家族は

“あんな人のために“と呆れて

いるのですが

日頃、

スクルージに罵声を浴びている両者では

ありますが

クリスマスということで二人は

スクルージに同情せずにはいられない

様子です。

惨めで浅ましい、ゾッとするような子供の正体

そんな様子を幽霊とスクルージは確認し

消えようとする幽霊は最後に

また、一つスクルージに教えます。

幽霊は衣の襞(ひだ)から二人の子供を

取り出します。

その子供は男の子と女の子です。

この子供はボロをまとい、しかめ顔をして

貪欲そうなのに、へりくだっている。

子供だが生き生きした様子はなく

腐りかけた老人のような手がつねり

ひきさいたような様子で

悪意をこもった眼でにらんている。

二人とも自分たちの父親を訴えて

こうして私にしがみついているのだ。

この男の子は『無知』でこの女の子は

『欠乏』だ。

この二人とその仲間たちに用心しなさい。

ことにこの男の子には

用心するのだ。

もし書いたまま消えていなければ

その男の子の額には『滅亡』と

出ているはずだ。

書いてないとは言わさないぞ!」

「この子供たちには逃れる場所も

救ってやる手段もないのですか?」と

スクルージが尋ねると

幽霊はスクルージ自身が言っていた

「救貧院」「監獄」に入れてあげれば?

と少しとぼけたことを言って去ってしまった。

この子供たちは、かつてどうしても

救われなかった自分と妹のファン

なのでしょう。

この少年時代の憎しみに似た

“寂しさ“に

飲み込まれないよう

忠告したのかもしれません。

寄付を迫った紳士に寄付などしなくても

困った者は税金で賄っている

「救貧院」や「監獄」に行けばいいと

寄付を拒んだ時、紳士に言われた

「それでは救われない者もいる」と

言う言葉が骨みに染みてわかった

ことでしょう。

感想 まとめ

少年時代の

惨めな思いを忘れようとそのことに

蓋をして生きてきたスクルージは

幽霊たちによってそれが詳らかに

なっていくことを

少し怯えていたところがあったが

そのことをしっかり掘り起こして

その“恐れ“を取り除かなければ

本当に意味でスクルージは

クリスマスのご加護を受けることが

できないのでしょう。

それは、スクルージにとっては

確かに試練と言えるでしょう。

クリスマスキャロル
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