【脂質】食事で摂取する必要のある油分『「代謝」がわかれば身体がわかる』大平万里著

「代謝」がわかれば身体もかわる
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検診で「コレステロール値が高い」とか

「中性脂肪は高い」などよく聞きます。

そうです。

この間までは、他人事だったのですが

加齢に伴い、

やはり、私も御多分に洩れず

それらが上昇中なのです。

脂質関係(メタボ)の値なのですが

本書を読むと

コレステロールや脂質をたくさん取れば

上がるというわけではなく

「糖質」をたくさん取ることから

その「糖質」が油分に変わっていく

ためのようです。

しかし、身体にとって必要な

不飽和脂肪酸は糖から作られず

体内で合成されないのです。

ゆえに食事から取らなくては

ならないのですが

どんなものを取ったらいいのでしょう?

理学博士で生物・化学系のライターの

著者がそのことについて

解説しています。

不飽和脂肪酸の役割

ω6脂肪酸とω3脂肪酸の関係

これらは自前で

合成されないにもかかわらず

極めて重要な役割を持っている

不飽和脂肪酸のである

ω3系脂肪酸やω6系脂肪酸。

例えば

それらから合成されるものとして

「エイコサノイド」という

生理活性物質ができるのだが

これは、プロスタノイド

(プラスタグランジン、トロンボキサン)と

ロイコトリエンに分けられ

生理作用も多岐にわたる。

代表的なものに

炎症促進、血液凝固の促進・抑制、

発熱・痛みの出現、

血管収縮・拡張などがある。

具体的にはω6脂肪酸からなる

トロンボキサンA2は

強い血液凝固促進作用と

血管・気管支収縮作用がある。

これらは一見、ヒトにとって不快な症状

なのだが

生体の防御機構から考えれば

必要な生理的反応だと

著者は言っています。

しかし、行き過ぎると

血管に血栓ができたり

アレルギーや喘息を引き起こす

といった困った症状でもある。

ゆえに強すぎた場合は

薬で抑えることが必要な場合が

あってしまう。

ω6系脂肪酸の暴走を阻害する薬、アスピリン

それは

有名なアスピリン(アセチルサリチル酸)で

このω6やω3脂肪酸をエイコサノイドに

する働きのある酵素

シクロオキシゲナーゼを阻害し

エイコサノイドの合成を阻害する。

アスピリンの作用で

痛みが和らいだり、血液凝固を弱く

することができる。

血液凝固が弱くなるのを利用して

血管が詰まりやすい病気

例えば

脳梗塞や心筋梗塞などが

起こりにくくするために

用いられることもある。

その反面、

エイコサノイドの胃粘膜保護作用は

低下するので

この薬を服用するなら

胃薬も必要な人もいる。

ω6脂肪酸よりマイルドなω3系脂肪酸

同じような作用でトロンボキサンA3

が合成される

ω3系脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)

こちらは

血液凝固も気管支収縮も緩やかで

強すぎて困るようなことになるのは

少ない。

ゆえに、こちらのω3系脂肪酸の方の

摂取をより多く摂って

エイコサノイドを合成させる方が

良い塩梅にあると著者は記しています。

かといってω3系ばかりだと

血が固まりにくくて出血した時は

困ったことになる。

この2種類がバランスよく

食事から取れれば良いということです。

必須脂肪酸 リノール酸とα−リノレン酸

このような重要な役目があるにも

関わらず

エイコサノイドを作る

ω3系や6系の脂肪酸を合成する

酵素をヒトは持っていない。

だから

食事から取らなければ

ならない。

一般的にはω6系脂肪酸のリノール酸と

ω3系脂肪酸のα−リノレン酸

(またはエイコサペンタエン酸)

を取らなければならない。

これらを必須脂肪酸と呼んでいる。

感想

これらの脂肪酸を合成するために

必要な酵素を持っていないために

食事から取らなければならない。

これらが摂取できなければ

どことなく身体に不調を感じるように

なってしまうということなのだ。

著者は

生命は「水」の中で育まれてきた

生物だが

水に溶けない「脂質」が細胞を強化し

エネルギーを生み

その生命活動を支えている

“母親“のようなものだと

言っている。

「代謝」が活発に機能することで

人は生き物らしく

生きていけるのだ。

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