【イスラム金融】利息を取ってはいけない『知らないと恥をかく世界の大問題』池上彰著

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タリバンがアフガニスタンの政権を

民主派の陣営から奪回し

中東のみならず

世界がどうなるか

固唾を呑んで見守っていますが

敵対しているアメリカとの間の溝は

どのようになるのでしょうか。

本書では

2001年の9・11アメリカ同時多発テロ以降

中東との金融関係の変化と

イスラム圏の独自の投資・運用に

ついて書かれているので

紹介します。

独特なイスラム金融

イスラム教の世界では金融取引で

「利息を取ってはならない」という

ことになっているそうです。

これはどうしてなのでしょうか?

それはイスラムの教えに沿った

金融取引でなければならないからです。

中東の投資はアメリカから離脱する

アメリカ同時多発テロ以降

ブッシュ大統領は国連を無視し

テロの首謀者を匿ったアフガニスタンに

続いてイラクを攻撃し

イスラム圏とアメリカとの対立が

深刻になりました。

そんな時、

イスラム圏の人たちは

アメリカに投資することに不安を

感じ始めます。

もしかした投資した資金を

凍結されるかもしれないと

思ったからです。

中東の人たちにとって投資などの

お金の運用は重要なことで

その“オイルマネー“も巨額です。

彼らにしてみれば

原油はアラー(イスラム教の神)が

くれたものであり、

それはいずれ枯渇していまうものだと

知っています。

温帯で砂漠地帯が多く

なかなか多種の産業が発展しにくい

中東では

この神からの恵みである

“オイル“が無くなってしまうことは

子孫代々困窮してしまうことに

なります。

今のうちに“恵み“が亡くなった時の

対策を立てておかなければ

なりません。

そのために資金の運用でお金を増やすことは

他の地域の人たちよりも

切実と言えます。

なのでこのようにアメリカとの関係が

悪化してしまうと

「アメリカからの離脱」を考えなくては

ならなくなってきました。

『コーラン』に倣った金融取引とは

イスラムの世界ではイスラム法を遵守した

金融取引をおこなっていく

“保守“の金融です。

これが「イスラム金融」と著者は言っています。

特徴として

「利息を取ってはいけない」ということです。

これはイスラムの経典『コーラン』の中に

「アッラーは商売はお許しになったが

 利息取りは禁じたもうた」という

文言があります。

利息は取るなということです。

イスラムの教えに名目上則った形にするために

金利を発生させないように

工夫したり

ギャンブルや豚肉、アルコール(お酒)など

イスラムの教えに反する事業を

おこなっている企業への投資を避けたり

しています。

「シャリーア」と「イジャーラ」、「ムシャーラカ」

このように、どんなところでも好きに

投資ができないので

「シャリーア』というイスラム法に詳しい

法学者に依頼して

投資先に問題がないか

チェックしてもらい

いわゆる“お墨付き“をもらい投資先を

決めるということをしています。

利息においても

名目上取らない方法として

リース形式にして金利ではなく

手数料をとるという

「イジャーラ」や

合弁企業に出資して利益、損失を分担し合う

「ムシャーラカ」という方法もあります。

一方で

イスラム圏は投資先として

人気が上昇しています。

バーレーン中央銀行が

7億5000万米ドル建てイスラム債(スクーム)を

発行した時、

申し込みが殺到して

中央銀行は急遽発行額を増やした

ことがあります。

イスラム教の戒律にあった形にして

発行する債券なので

中東の政府系ファンドなどには

以前から人気がありましたが

最近では欧米の機関投資家の応募が

多くなってきたということです。

オリンピックを誘致したい中東

今後も中東の市場規模はどんどん

膨れていくと著者は思っています。

資金運用では

UAEを構成するアブダビ首長国は08年、

政府系投資会社の

アブダビ・ユナイテッド・グループを通じて

サッカーのイングランド・プレミアム・チームの

「マンチェスター・シティー」を買収しました。

タイのタクシン元首相が所有していた

チームで

買収金額は約380億円。

これも“オイルマネー“の威力だと

言っています。

カタールやUAEはいずれオリンピックも

自国に誘致したいと考えています。

オリンピックが開催された国の

発展は著しく

また、

今まで一度も中東地域でオリンピックが

開かれたことがないということも

誘致に意欲を見せる要因になっている

ようです。

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