幸福の計算『不愉快なことには理由がある』橘玲著

不愉快なことには理由がある不都合なことには理由がある
スポンサーリンク

幸福に値段をつけたらいくらに

なるのでしょうか?

こんなことを大真面目に研究している

人がいるということが

本書で紹介されています。

このようなことがなぜ必要なのでしょうか。

そして、幸福や不幸の値段は

いくらぐらいなのでしょうか。

幸福や不幸の値段はいくら?

幸福や不幸の値段をつけるのは

なんて不謹慎なことだと思いますが

こんなことを「科学」として研究している

人たちがいるのです。

値段をつけなければならない不幸がある

「こんなことになんの意味があるのか」と

思う人もいるでしょうが

これは今後重要な研究になるというのです。

それは“心の苦痛“をお金で償わないと

いけないことがあるからです。

例えば、離婚時の慰謝料などは

精神的苦痛に

値段をつけて支払われるのは

よく知られている“心の苦痛“に対しての

値段なのですが

今までは

それ以外、このような

心の苦痛に対して損害賠償は

ほとんど認められることが

なかったようです。

それは、賠償というのは

実損害に対して

いくらと支払われるもので

“心の痛み“に値段をつけるなんてことは

できないとされてきました。

しかし、近年このごもっとな考え方は

原発事故のような

巨大災害が起こると、理不尽極まりない

ことが起こってしまいます。

住みなれた我が家から

強制避難させられることは

代わりの住居を用意されると

実損害などは償われますが

代わりの住居を与えられても

“心の苦痛“は残ります。

これはあまりにひどいことであるため

原発事故では

精神的な賠償も認められるようになった

のですが

これは形のないものを償うものなんで

基準を設けるのが困難と言えることです。

賠償金は有限であるので

公平で平等な賠償のためには

この「幸せの計算式」が必要なのです。

著者はニック・ポータヴィ『幸福の計算式』を

参考文献として本書の章を書いています。

恋人が死ぬより長時間通勤の方が不幸?

上記の言葉は

本文のそのままを引用したものですが

ちょっとドキッとしますよね。

恋人が死んでしまうという

“不可逆なこと“を

通勤の時間と比べるなんて思いますが

ここではあえて

“心の苦痛“を償うというの理由から

とんでもないことを

大真面目に計算しているということを

紹介しています。

「恋人(配偶者)が突然死んだとしたら

 こころの痛みは最初の年で約3800万円」

なんて数字が算出されています。

それ以外の人生のイベントにも

値段がつけられていることが

紹介されています。

結婚と子供が生まれる値段

独身の人が結婚すると

その直後の喜びの値段は

43万円の宝くじに当たったのと

同じだそうです。

最初の子供が生まれるのは、

31万円を道で拾った喜びに相当するそうです。

宝くじに当たるのと道で拾うのとでは

また違うのか、

第二子なら値段が違うのかが

ちょっと気になるところですが

それは置いておいて

著者は結婚や子供をもつことは

私たちをそれほど幸福にはしないと

言っています。

確かに思っているよりは

値段は安いようです。

この研究結果がイギリスで発表された時は

ものすごい反発があったようです。

確かに、この形のないものの

その大きさや価値は

人それぞれと感じる人が多いので

そもそも値段ではなく

これらのものに値段をつけることに

対しての反発なのかもしれません。

まあ、この値段が妥当かどうかは

結婚で失った自由、子育ての大変さを

味わった者としては

密かに「こんなもんかも…」と

思ったりしたりする人もいるかもしれま

ある研究では

宝くじに当たった人と交通事故で

下半身麻痺になった人では

人生の満足度を比較して

それほど幸福度に違いがないというのです。

ひなみに本書の別の章で

宝くじで一等に当たる確率と

交通事故死の確率が同じだと

書いています。

それだけ幸不幸は主観的なもので

交通事故で障害を負った人は

「生命が助かっただけ運がいい」と

前向きに考えることができるというのです。

実際はそう簡単なことではないと思いますが

著者は私たちは

幸福にも不幸にもすぐ慣れてしまうと

言っています。

簡単なことではないとしても

いつまでも死ぬほどの思いを抱いて

いられないということでしょう。

恋人や配偶者と死別すれば

誰でも大きな精神的ショックを受けます。

しかしその後の彼らの追跡調査をすると

男性で4年、女性では2年で人生の満足度が

元に戻っているようです。

離婚はもっとはっきりしていて

最初のうちは傷つきますが、

数年のうちに

以前より幸福になっているようです。

それはそうかもしれないと思う人は

多いのではないでしょうか。

この研究では、死別のような一度限りの

出来事よりも

持続する苦痛の方が幸福度を

引き下げるということが

わかったと紹介されています。

このことから

毎日の長時間通勤が恋人の死よりも

ずっと人生を不幸にするというのは

ちょっと言い過ぎかと思うのは

私だけでしょうか?

コメント