【ACP】アドバンスケアプランニング『それでも病院で死にますか』尾崎容子著

それでも病院で死にますかそれでも病院で死にますか
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日頃、老人介護施設で働いていると

さまざまな人の生死を

目の当たりにします。

そんな時、

「自分だったらどんな最期を送りたいか」

常々考えてしまいます。

本書では

最終末期になって考えざるを得ない

この問題を

もう少し早めに考えておく

アドバンスケアプランニングを

立てることを

勧めています。

これらを理解すると

自分らしい終末期を迎えることが

出来るヒントになると

思いますので紹介します。

「人生会議」という愛称のACPとは

「人生の最終末期のことをあらかじめ

 決めるための話し合いを

 医師やご家族とともに行い、

それを共有すること」

というのが

アドバンスケアプランニングと

言われているものです。

例えば、延命治療の有無、

暮らす場所、暮らし方などについて

考えておき

それを周囲の人たちとも

共有しておくことなのです。

こういうことが

必要となった背景には

医学の進歩で病気が完治できない

状態でも

長期間の生存を期待できるように

なり、

「治りません。

 しかし、生きていくことはできます」

という時代になったためなのでうが

そのことで、

「人の死」が少し複雑になり

自分で“選ぶ“必要が出てきたという

ことでしょう。

自分で判断できなくなったり

家族がパニックになっている

いまわの際では

その選択ができないので

前もって考えて、

意思表示をしておくということです。

最後の日々をどのような場所で療養したいか

まずは

「自分が意思決定できなくなった時の

 意思推定の代理人を誰にするか」

を考えておくことを

著者は本書で記しています。

そして、

「医師や家族と一緒に自分の最期についての

 思いを話し合っておく」ということです。

それは

自分はそのような場所で療養し、

最期を迎えたいかということの

意思確認と

医師や家族との

合意をはかるということです。

がん患者の場合のACP

がんなどの悪性腫瘍は

その経過の中で比較的長い時間

体力が温存されて

自分でなんでもできる時間が

病名の告知からでも

比較的長い疾患です。

しかし、確実に最期は

急速な身体の機能低下が見られます。

そうなる前に

「最後はどういう場所で、どうしたいか」を

考える必要があります。

例えば、

「トイレに自分で行けなくなったら

 病院に入院したい」や

痛みや苦痛をとるための

緩和ケアを受けたいので

そのような状態になれば

ホスピスを利用したいとすると

そのようなケアをやっている

病院を探し、

あらかじめ予約しておくなど

しておくということも

ACPの一部の行為だと言えます。

ACPの流れは絶対でない

実際には、緩和ケア病棟に

入院予約をしていても

訪問診療や訪問看護で

大きな苦痛が取れているなら

そのまま自宅で最期を迎えると

いうこともよくあると

著者は本書で記しています。

ACPはそれに沿って

意思決定したからといって

それでなければならないと

いうわけではなく

気持ちの上での準備という

意味合いの方が

大切な行為なのです。

まとめます

まだ動けるうちに

自分がどう死んでいくのか

考えるのは

現実的には辛いことで

なかなか考えがまとまらない

でしょう。

がんの場合は治療し、よくなったり

再発したり、また治癒したり

などを繰り返すので

まずはしっかり治療することを

医師である著者は記しています。

「人は生きたように死んでいく」と

言われています。

死も生の延長なのです。

死について準備しておくことは

よりよく“生きる“ということで

特別なことではないのでしょう。

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