人よりはやく大人にならないといけない子供『いけちゃんとぼく』西原恵理子著

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少年はあっという間に

大人になって

どっかへ行ってしまう。

悲しい思いも

悔しい思いもいっぱい

経験して

大人になっていく。

そんな時、そっと支えてくれた

心の友達がぼくにはいたのです。

いけちゃんというちょっと

おばけの形をした

ぼくにだけ見える存在で

いけちゃんは大きくなったり

細切れになったり

ピンクやオレンジになったりと

自由自在に形を変えて

ぼくのそばになぜかいつも

いてくれます。

早く大人にならなければならないぼく

加速度を上げてぼくは

大人になろうとしていました。

しかし、ぼくの心の中は

何かしら、悲しいことや

悔しいことがあります。

なんてこったい

ぼくは海で溺れかけて

必死に

「こんなことで死ぬわけにはいかない」

「ぼくはおばあちゃんの次の自慢に

 ならないといけないから…」

など思いながら

神様に助けを乞い、自力で鼻を垂らして

海から上がってくると

母親と妹は砂浜で遊んでいて

残念ながらそのことに

気づいてもいない。

なんてこったい。

ぼくが生死をさまよったのに、

世界は 何一つ、

変わってない。

ええと

神様はどこだ。

『いけちゃんとぼく』西原理恵子著

ぼくは今日いじめられた。

ぼくは復讐を決意し

その練習をします。

いけちゃんはどうするの?

とぼくに問いかけます。

すると、

ありに熱湯をかけたり

蝶にのりをつけてリンプンノートを

作ったり

蝉を集めて竹筒に入れて

耳に当ててみたり

でも、気がすみません。

泣きながら「バーカ」「バーカ」と

繰り返し叫びます。

いけちゃんは言います。

「大人になって、好きな人ができたら

 このことを話すといいよ。

 好きな人が笑ってくれるよ」と

ぼくの手をくわえて優しく諭します。

ひとりごはん

学校から帰ったら家の中は

真っ暗でお膳におかず。

お腹は空いているけれど

真っ暗が大きすぎるとぼくは

思いました。

そんな時、いけちゃんが

一緒にいてくれます。

二人で声を合わせて、

「ひとりごはんの食べ方〜!」

と叫びます。

コロッケを砕いてマヨと醤油を

かけたものをごはんに混ぜて

食べるととても美味しいのです。

いけちゃんがいれば

ひとり飯もへっちゃらです。

100うみの悲しさ

いけちゃんぼくはわからないよ。

いけちゃんはぼくに聞きます。

「大好きなものは?」

漫画の本とぼくは答えます。

「大嫌いなものは?」

海で溺れることと答えます。

いけちゃんは今のぼくのお気持ちを

聞きます。

ぼくは100うみと言いました。

ぼくはお父さんに最後の

お別れをし

たくさんの人の前で挨拶しました。

いけちゃんは言いました。

せかい中で人よりも

はやく大人にならないと

いけない子供っているんだよ。

『いけちゃんとぼく』西原理恵子著

そして、ぼくの姿を見て

せかい中の100うみを

あるいているこどもたちは

それはそれで けっこう

大丈夫なんじゃないかなって

思った。

『池ちゃんとぼく』西原理恵子著

いけちゃんがほしかったもの

いけちゃんが小さくなっているので

ぼくは

「どうしたの?」と尋ねます。

いけちゃんは凹むと

小さくなってしまうからです。

いけちゃんは逆にぼくに尋ねます。

「いけちゃんどうおもってる?」

大好きと答えます。

ようはいけちゃんは

ひとりぼっちでさみしかったのと

おなかがすいていたのと

だいすきがほしかっただけでした。

『いけちゃんとぼく』西原理恵子著

まとめます

ぼくはお父さんが亡くなってからは

急いて大人にならなくては

ならないと思う気持ちがあり

いじめられても、ひとりご飯でも

自分の中で消化しようとします。

しかし、

少年もまだ甘えたい年頃で

痩せ我慢にも限界かあります。

そんな時、いけちゃんという

目に見えない存在に

後押しされながら、

大人になっていきます。

大人になったぼくには

もう、いけちゃんに会うことは

ありませんでした。

少年は心の中でいけちゃんを

住まわせて

歯を食いしばって大人に

なっていくのですね。

いけちゃんとぼく
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