心惹かれる出会いが戸惑いに変わる時『境界線パーソナリティ障害』岡田尊司著

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とても印象的で、心を惹きつけられ

一目見た時から、注意を向けずには

いられないような魅力とオーラを放ち

放っておけないような

保護本能をくすぐる。

そんな人と出会い、

個人的にすっかり親しい関係になり、

お互いの信頼関係が深まったと

思った頃、

突如、相手の不可解な言動に

戸惑うことになる

そんな経験はないでしょうか?

この惹かれてやまない雰囲気の相手は

突然、

「これでもう別れましょう」と

いうのです。

本書では、これは相手が

「わがままな性格」なのではなく

「境界線パーソナリティ障害」の

可能性があると書いています。

身近になった心の病

アメリカの精神分析家アドルフ・スターンが

神経症と精神病の境界線(ボーダーライン)と

いう意味でこの語を使った

「ボーダーライン・グループ」の

特徴を捉えたもので

「境界線パーソナリティ障害」として

今日では知られています。

なぜ、「境界線上」が必要かというと

神経症や精神病のどちらの治療にも

反応しない

逆に悪化させることもある

この症状は

とても身近で“病気“と定義しにくいが

専門的な治療を要するもので

精神医療に携わる医師は

この「境界線上」に他の精神疾患と区別して

着目しなければ

ならなかったからです。

魅力的な境界線パーソナリティ障害の人

境界線パーソナリティ障害の人との

出会いはとても印象的で

明るく振る舞っている時でも

ふと横顔に寂しげな翳りがあったり

健気に無理をしているのを

感じたりする瞬間があったり

繊細で、思いやりがある

優しい気遣いを見せるかと

思えば

突然、常識を超越した

ストレートな言葉で、

痛いところをついてきたりする。

サービス精神旺盛な面と

ドキッとさせる大胆な振る舞いの

ギャップがあったりと

枠にはまらない感じが

人を魅了します。

「これで別れましょう。ありがとう」

驚くほどあったいう間に

距離が縮まって

いつの間にか恋人同士のように

親しくなり

まるで魔法にでもかけられたように

この出会いは特別なものだと

運命だと感じさせられる。

そんな関係が深まったと思った頃

不可解な相手の言動に

戸惑いを覚えるようになる。

突如、

「これで、別れましょう。」

「今別れなければ、きっと、

 私のことを嫌いになって、

 見捨ててしまうに違いありません。」

などと予言めいたことを言われるのです。

いっそう相手を守りたい気持ちに駆られる

突然の別れ話に気になり

すぐ、連絡をしょうとするが

連絡がつかない。

理由もわからずパニックになる。

やっとのことで連絡が取れ

相手がずっと泣いていたことが

わかると心配で別れを告げた相手に

仕事も放り出して「会いたい」と

いうが

相手は「もっと私のことが嫌いになる」と

謎めいた答えをし、泣くばかり。

そんなことないと説き伏せて

半ば強引に会いに行く。

そして、

いつもの魅力的な相手とは違い

暗く、沈み込んだ顔を見て

戸惑いながらも不憫に思い

その理由を尋ね、

それが衝撃的な告白であれば

その話に圧倒され、動揺するが

いっそう、相手を守りたい気持ちに

駆られるのです。

「手首を切ってしまった。すぐ来て」

相手を抱きしめ、これで

相手も安心して、一件落着したかの

ように思えたがこれは

ことの始まりでしかなかった。

その夜早速、寝入りばなのあなたは

不審な電話に起こされる。

「手首を切ってしまった」と。

ドラマのような生活がはじまる

これまで生活に終わりを告げ

まるでドラマのような

不安と緊張を覚えるようになる。

いくら自分が相手を

慰めようが安心させようが

5分のしないうちに相手の気持ちが

揺らいてしまう。

優しい言葉をかけ続け

そばを片時も離れないように

しないと相手は不安定になってしまう。

死して不信感をむき出しにした

メールや攻撃的な言葉で傷つけてくる。

それに対して

冷淡な態度を取ったりすると

突然、浴室やトイレにこもって

危険なことをする場合もある。

四六時中相手に縛られていると感じ

神経をすり減らし

いっそう別れようかと思う時も

あるが危険なことをしたらと

思うと踏み切れない。

そんな気持ちを相手が感じたように

「あなたの重荷になりたくない」と

姿を消してしまう。

それを聞いて動揺し

必死で探し相手の元に

駆けつけると

睡眠薬を飲みリストカットしている

のを発見してしまう。

著者は本書で

これは、

決してドラマチックに脚色した

話ではなく

「境界線パーソナリティ障害」の人では

ごく当たり前に起こりうる

状況だと記しています。

本質的な理由は愛情や関心への強い飢餓体験

こうした経験が

「境界線パーソナリティ障害」の人との

出会いで起こりやすい理由は

愛情や関心への強い飢餓体験に

根ざしていると著者は

指摘しています。

異性に限らず、同性の友達や同僚、

上司との関係においても

同じような状況が起こるえると

しています。

何の場合でも

相手との距離が十分保たれている限り

何事もないのですが

距離が縮まって、

自分が受容してもらえることを感じ

相手に依存する心地よさを

覚えた時

これまでとは別人のように

コントロールが失われていく

ことが多い。

思いやりがあり親切な人は巻き込まれやすい

したがって、

親切な人ほど何とか支えになろうと

相談に乗ったりして

巻き込まれやすいと

著者は記しています。

また、

自分自身も心の傷や孤独を感じていると

「共振現象」がおき

冷静に関わることができなくなり

肩入れしすぎたて

一緒に感情の渦に巻き込まれて

しまいます。

問題の性質を理解せず

相手の支えになろうとすると

支えるどころか

支えようとしていたほうが

疲れ果て、

情緒不安定になってしまうのです。

まとめます

著者はこのような自殺願望は

わがままな性格や激情的であると

いうより

「境界線パーソナリティ障害」という

疾患として捉え

専門家に相談するように

勧めています。

このような相手に巻き込まれる

周囲も大変ですが

誰よりも自分から逃れられない

本人自身が一番苦しんでいるのです。

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