アンビバレントな葛藤『境界線パーソナリティ障害』岡田尊司著

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最近の学生に

「将来、どんなことがやりたいのか」と

進路について尋ねても

「何がやりたいかわからない」

何のために勉強しているのと

聞いても

「周りがみんなやってるから」

親が進路を聞いても

「えっ?何やってもいいの?」なんで

いう始末。

一体、

誰の人生を生きているのでしょう。

こうなってしまった原因には

「良いこと」「悪いこと」の間で

揺れ動く葛藤があるからだと

本書では紹介しています。

なぜ、自分がどうしたらいいかわからないのか?

怠惰でやる気のない子供

子供がこのような怠惰な態度を

見せると

きちんとした親であればあるほど

苛立ち、焦りが募り、

子供に対して、詰問してしまう。

しかし、子供はうまく答えられない。

答えられなくても、

人生を自ら選んで

それに向かって努力してくれて

いるならまだしも

毎日、やる気がない怠惰な生活を

していると

また、親は詰問し子供は

答えられないを繰り返す。

親はただ、進路を自分自身で決めて

頑張って欲しいだけなのにと

思っている。

親は最善なレールを敷きたがる

そんな“きちん“と育てられた子供が

好き好んで“やる気“もなく“怠惰“で

親に進路について話かけられて

しどろもどろしているわけでは

ないのです。

この逆に

きちんと育てられすぎた子供は

“良い子“になることを

求められすぎて

雁字搦めの中育っていると

著者は指摘しています。

言い換えれば

親が支配的で親の価値観や期待が

優先され、

子供自身の本音の気持ちや願望には

あまり関心が向けられていない。

親は子供にとっての

最善の道がわかっていると思い

先にレールを敷いていたので

子供もそれに沿って

何も考えずに進んできたのでしょう。

親は親で

本人の思いを聞いてきたと

思っていますが

実は知らず知らずのうちに

都合よく誘導し

まるで、子供が自ら考えて

親の期待に沿うように

振る舞っていると思っていると

本書では記されています。

「生まれてこなければよかった」

この親の価値観に支配された

「良い自分」は

思春期ごろから自己意識が育ってくるに

連れて

今まで、自分だと思っていたものは

実は、親から押してけられた

“お仕着せ“にすぎないと気づきます。

実際の外の世界では

通用しないことが出てきたり

結果が出なかったりすると

次第に“お仕着せ“

腹が立ってきて

それらを脱ぎ捨て、

過剰に否定し親に反抗すべき

今までと正反対な「悪い自分」

を纏うようになります。

親のアラ探しをしては恨みつらみを

言い、

育ててもらったことに感謝するどころか

「どうして産んだ。」

「生まれてこなければよかった」

など、

これまでの人生は手垢まみれ

のように感じ

これまでの人生を全て否定するのです。

「良い子の自分」も「悪い子の自分」にもなれない

この時期は押し付けでくる

親に対しての嫌悪感と

期待に応えられない

自分自身に対しての嫌悪感という

相反する気持ちが同居する

アンビバランスの状態になります。

こんな場合、

人間とは、良いも悪いも持ち合わせた

そういう生き物だと

客観的に捉えられればいいのですが

「境界線パーソナリティ障害」を

起こすと

「悪い自分」にもなりきれない

かといって

「良い自分」もまだ支配力を持っている。

「悪い自分」の振る舞いをしながら

そうすることに罪悪感を持ち

自己嫌悪に陥ってしまう。

これら、

二分法的認知を克服することで

新たな自分を産むことができると

著者は本書で記しています。

バランスの悪い併存からの脱却

ここからの回復の過程とは

「良い自分」と「悪い自分」の

どちらか一方が正しいのではなく

どちらも大切な自分なのだということを

受け止め

その両方を統合することで

「本来の自分」にたどりいつくのだと

著者は本書で記しています。

したがって、回復過程において

否定した親や「良い子」の部分を

再評価し

それと同時に「悪い自分」に対して

冷静な見方をし

距離をとっていく。

「悪い自分」をもう一度否定し

「良い自分」を受け入れ

同時に「悪い自分」も通過した

新しい自分を見つけることが

できるということなのです。

まとめます

親が子供のために良かれと思い

導いていたと思っていたのに

子供という一人の人間を

乗っ取るようなことに

なるとは思っても見なかったでしょう

しかし、大人になるにつれて

自分の中でアンビバレンスの葛藤が

生まれ、

自分自身を取り戻すきっかけと

なるのです。

相反する考えを統合することで

「良い子」でも「悪い子」でもない

新しい自分に生まれ変われる

ということです。

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