②“いい先生“って何だ?『ここは今から倫理です』ひずき優著

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「良い教師になりたい。」と

願う生徒に何が必要なのでしょうか?

人を導き、立派な大人になれる様

教えを授ける「先生」とは

どんな心構えが必要なのでしょうか。

時代に合わせて“理想の先生像“は

変わっていくのですが

今回は“いじめ“にあった経験から

教師を目指す生徒に

数学や英語ではなく

「倫理」の授業で

“良い教師“になるための必須を

学ばせます。

先生のような教師になりたい!

学校の先生になるのが将来の夢だと

いう男子生徒にとって

独特の存在感を放ち

そして静謐な佇まいと視線をもつ

倫理教師の高柳は理想の先生像だった。

ある日、タバコを吸っていることを

他の女教師に咎められているのを

見てショックを受ける。

部屋から出て遠慮がちに喫煙している

高柳を見て幻滅してしまう。

「こんな社会で害悪と言われている

 タバコを教師のくせに…」と

心の中で高柳を糾弾するこの生徒は

タバコの匂いで

自分がいじめられた経験が思い出され

そんないじめっ子から

子供たちを救いたいと願う気持ちから

教師を目指している、

そんな教師に巡りあったことが

ないから自分がなるしかない、

と高柳に話します。

「私のことも救っていただけますか」

生徒に対して丁寧で尊厳を持った

態度で接する高柳は

“自分のことも救ってほしい“と

その生徒に頼みます。

“タバコをやめる“選択はできないのか

と迫られますが

それは“救いにならない“と

高柳は拒否します。

そして、「教えてください」と

真剣に生徒に懇願します。

そして困っている生徒にこういいます。

「私は不当に部屋を追い出された

 いじめられっこですか?

それとも、強制的に毒を吸わせた

 いじめっこですか?

 もし後者だったなら、

 私はあなたに救ってはもらえない

 のですか…?」

「ここは今から倫理です」ひずき優著

この生徒は誰を助ければいいのか

わからなくなります。

中国の哲学者「老子」の言葉

高柳は静かに見つめながら

「老子」の言葉をこの生徒に話します。

“善なるものは吾これを善とし

不善なるものも吾またこれを

善とす。

徳は善なればなり。“

老子

この意味を理解しようと努めます。

良い人も悪い人も本性はみんな

善だから“いじめっこ“も救えってこと?

人を傷つけるものも救えってこと?

高柳は「そうです。」と答えます。

そして、倫理の教師として

生徒の心に届く言葉を発します。

「そうです。そうしなければ、

 あなたはいつか、

 いじめっこをいじめてしまうかも

しれませんよ」

「ここは今から倫理です」ひずき優著

いじめられっこの気持ちが

わかるこの生徒は

良い先生になれると自負していたが

高柳はそれでは

不十分だといいたかったのでしょう。

いじめられた報復のように

“正しい教師“になり

いじめられっこを救い、

いじめっこを罰するという

考え方のまま

“教師“という権力を持つと危険であると

高柳はこの生徒にわかってほしかった

のです。

まとめます

自分がいじめられた経験から

その子たちを救ってあげたいという

気持ちから教師を目指しているという

この生徒はなかなか骨があると

思っていましたが

人の心の隙間まで見通せる

高柳先生はこの生徒に

“善““悪”の曖昧さを教えています。

人は善と悪が混ざりあった存在で

あることをこの若い生徒たちに

「倫理」という学問を通じて

教えているのです。

これは「教師」という職業につくのに

数学や英語と同じように

大切な学ぶべき“学問“なのです。

ここは今から倫理です
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