【あらすじ】生きるということ 火の鳥 鳳凰編  手塚治虫著 

火の鳥 鳳凰編鳳凰編
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火の鳥の中では、とても有名な作品で

私も未来編と共に自分の生き方に

影響を及ぼした作品と言えます。

「怒り」の感情とは、どんなものなのか?

憎悪は人をどう変えるのか?

善悪とは何を持って区別できるのか?

そんなことを考えさせてくれる

作品です。

あらすじ

生まれたその日に片腕を失った我王。

不遇な生い立ちから

数々の悪事、殺人に手を染め

傍若無人に生きていた。

しかし、自分を虐げた人間には

これほど、無情な我王だが

1匹のてんとう虫を助ける

一縷の優しさを持ち合わせていた。

その我王と正反対の

天真爛漫で純粋な仏師、茜丸。

人に追われていた我王を助けたが

その我王に大事な片腕を斬られてしまう。

その後、それぞれが仏師として

修行をするのだが

我王は、人々に虐げられ、嫌われながら

それを糧にして

知らず知らずのうちに

人々の救いとなる仏像を掘っていく。

次第に貧しく、病める人、

すべての生きとし生けるものに

慕われ、敬われる

とてつもない仏師へと

成長する。

茜丸は朝廷に召されて、

政治に関与しながら

大臣の庇護のもと、大仏の建設を

任されるほどに成長していく。

15年後、二人は宿命の対決の時を

迎える。

都の帝から東大寺の鬼瓦の競作を

命じられる。

そして、鬼気迫迫まる二人の作品が

完成する。

勝敗はどうなったのか?

不遇の我王

生まれた時の事故で片腕と片目とそして

守ってくれるはずの父親も失い

周囲に虐げられなから育った我王。

立身出世よりも誰よりも愛を渇望していた。

人が信じられず、この人はという人に

出会っても別れが訪れそのたびに

失意の底に沈んでいった。

しかし、その悲しみや苦しみ、怒りが

見る人を圧倒する

魂のこもった仏像を掘る仏師へと

なるきっかけとなった。

純粋から打算的に変貌した茜丸

我王に出会った頃は、弱いものや

虐げられているものに

対しての慈悲の気持ちで満ちていた。

ゆえに、我王に片腕を斬られて

仏師として致命的な状態になっても

我王を許し、それをバネに修行に

励み、鳳凰の彫り物を完成させ

それを帝に献上し認められてからは

当たり前のように恵まれた環境で

民衆たちの喘ぐ声も我関せずと

国事の大仏建設に満身していた。

我王と茜丸の対決

全国の民衆のうちで評判になっている

我王と対決することになった茜丸。

我王とは、昔自分を傷つけた男だと

知るが、帝に認められた茜丸は

我王に対しての恨みはなかった。

しかし、鬼気迫る鬼瓦の作成に関しては

不遇の環境でひたすら哀れな民衆たちの

ために仏像を掘っていた我王に

勝てるわけがなかった。

その証拠に我王が作った鬼瓦を見た途端

大臣たちが感嘆の声を上げてしまった。

しかし、勝敗はなぜが茜丸の勝ち。

大臣の権力のために勝敗は

歪められてしまう。

それでも、圧倒的に我王の作品は群を抜いて

いたため、異議が飛び交い

やはり、我王が勝利となるところで

茜丸が昔、我王に斬り付けて腕をダメに

されたと暴露してしまう。

さらに、茜丸は我王の残った方の腕も

切り落とすよう命じて

追放してしまう。

茜丸の最後

茜丸は鬼瓦対決で勝利するが

瓦を保存していたところ(正倉院)

からの出火で焼け死んでしまう。

茜丸は死ぬ間際に“火の鳥“に会う。

「死にたくない。まだやりたいことがある」

と懇願したが

死を宣告される。

そして、2度と

人間に生まれ変わることはないと

言われてしまう。

感想

我王は仏師として修行しようしていた

わけではなく、

その時の堪えようのない

「怒り」や「悲しみ」「苦しみ」を

暴力ではなく、仏像にぶつけるように

掘り続けた。

それは、あれた状態の我王の中に

仏が宿ることを信じた良弁上人のおかげ

だった。

この良弁上人も信仰を政治に利用する

ことに加担してしまったことに

自責の念を抱いていたため

我王の中の仏を見ることが

できたのである。

我王は救いを求める民衆のために

「即身仏」となった良弁上人との別れから

本当の仏の悟りを開苦ことが

できた。

辛い経験が糧になり、仏の心を持つ

仏師になることができた我王。

圧倒的に我王の方は悪事の限りを

尽くしてきたのに

最後は魂の仏師になれて

純粋で慈悲の心を持ち合わしていたのに

最後には、慢心と虚栄心に塗れて

その心も失い

ついには、本当の仏を自分の中に

抱くことなく死んでいってしまう。

人が卓越した精神を持つことの

大変さを我王の生き様で知ることが

できる作品でした。

鳳凰編
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