西暦３４０４年の地球を舞台にした
火の鳥シリーズ。
この『未来編』は『鳳凰編』の次に
私は好きな火の鳥シリーズで不死鳥の火の鳥を
扱うなら、一番ふさわしいストーリーです。
生命とは、愛とは？
壮大なテーマですがこの一冊に
凝縮されています。
地球が滅びる
地下での暮らし
地球は急激に衰退し人々は地下での
生活を予期なくされる。
「永遠の都」と呼ばれるその場所は
世界は五ヶ所に分かれて
それぞれは電子頭脳の指揮のもと
生活していた。
不定形生物のムーピー タマミ
二級宙士の山之辺はシリウス12番星から
連れてこられた、不定形生物のムーピーと
いう生き物と暮らしていた。
その生物は、人々に癒しを与えるこができ
例えば、人の脳細胞を刺激して家に
いながらハワイのビーチで泳いでいるような
感覚になったり、クレオパトラになったりと
いろいろ都合の良い幻覚をみせることが
できる催眠術を施すことができる。
そのため、都市のマザーである電子頭脳は
それを、危険と判断して全てを抹殺する
よう指示を出し、人類戦士によって
絶滅してしまった。
しかし、山之辺はタマミという女性の
ムーピーを隠し暮らしていた。
荒れた地上へ逃亡する
タマミのことが見つかり処刑するように
と命じられた山之辺だが
タマミを愛していたためどうしても
殺すことができず
逃亡を図る。
火の鳥登場
火の鳥は山之辺を地上で暮らしている
猿田博士のところに二人を導く。
猿田博士にも二人を受け入れるよう
話す。
「地球を治せるのは彼だけです」と…
マザー電子頭脳同士、破壊し合う
脱走者、山之辺を保護するか処刑するか
で対立した、マザー電子頭脳たちは
お互いを攻撃することになり
あっという間に
人類が滅亡してしまう。
山之辺、永遠に命を得る
火の鳥、再び現れる
火の鳥は山之辺に死なない体を与え
地球の再生を見守るように言われる。
何度も自殺してみますが
本当に死なないのです。
そして、
山之辺を救うために、猿田博士の
実験体となることを決心したタマミは
実験半ばで死んでしまった博士のために
人型としてではない不定形の形になって
しまった。
タマミ、死ぬ
５００年の間、人型ではなくなったタマミと
幻覚を見ながら一人の寂しさを紛らして
いたが、とうとうタマミも死んでしまう。
博士は、タマミの生命力を研究し
人類を復活させようとしただけあって
長生きはできたのでしたがそれでも
お別れの時がやってきました。
いくら、悲しくても一緒に死ぬことは
できないのです。
地球復活を見守る
山之辺は寂しさを紛らすために
ロボットを作ります。
人間に近いロボットを作り出していた
猿田博士のようなロボットを作ることも
できず、
人間のような生き物も作ることが
できません。
孤独の中の孤独を味わいながら
３０億年後
人類の復活をとうとう見ることに
なります。
その時、火の鳥が現れもう形が
なくなってしまった山之辺を
自分の体の中に引き取って
タマミと再会させます。
感想
３０億年の間、
生物の誕生を見守ってきた山之辺は
滅びゆく種に対して
あわれな生きものよ
おまえはなぜ、そんなに
いきたいのだ？
たかがナメクジのくせに…
長生きして
なんになるというのだ？
なぜ命をそんなにおしむのだ？
私はおまえの先祖の下等なナメクジを
知っているが
おまえのように未練がましくは
なかったし
グチも言わず死んでいった
はずかしくないのおかね
火の鳥 未来編 手塚治虫著
山之辺は人を押し除けてでも
自分だけでも生きたいということを
望まなかった。
タマミを助けたい一心で
コンピューターや誰のいうことも
聞かず、逃亡した。
あの、猿田博士ですらタマミをさらって
宇宙へ逃げようとしたのに…
そんな、なんの知識も技術も持たない
山之辺を見込んだ、火の鳥のように
手塚治虫もこのような人が
これから必要なのだと
示しているのだ。
コメント