シマウマが家畜にならなかった理由『銃・病原菌・鉄 上』

銃・・病原菌・鉄銃と病原菌と鉄
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農耕を営み

定住して暮らすようになった人間にとって

動物を家畜化することは

食料を確保する上で大切なこと

なのですが、そこで考えるのが

今、家畜として飼われている動物以外でも

家畜として飼われていれば

もっと食料の確保に効率的である

動物(肉がたくさん取れる、個体数が

もともと多いなど)

がいるにも関わらず、

なぜ、それらの動物を

家畜化できなかったのでしょうか。

家畜になれなかった動物の条件

ここでは特に食料調達にい役立つ

動物たちを中心に紹介されています。

現在、家畜として飼われているのは

選ばれし“先鋭“ばかりだという

著者の言い分がとても理解できます。

大多数の大型哺乳類が

なぜ、家畜にふさわしくなかったのでしょう。

食料に食料を食い荒らされる

動物は食べた分が全て

消化吸収されるわけではなく

餌の10%ほどしか吸収されません。

1000キロの動物は

10000キロの餌が必要になります。

後、コアラのように餌の好き嫌いが

激しい動物も

牧場飼育には向いていません。

このように肉食哺乳類は

餌の経済効率が悪いので

食用目的で家畜化されたものは

皆無なのです。

ただし犬は例外で

アステカ時代の

メキシコやポリネシア、古代中国では

食用に改良した

品種で育てられていました。

大器晩成な動物

これは成長に時間がかかりすぎる動物は

家畜化しても育てる意味があまりありません。

例えば、草食動物で比較的なんでも食べ

肉もたくさん取れるゴリラやゾウが

家畜化されないのは

一人前になるまでに

一五年も待たなければならない

動物は人間の生活に間に合わない

からです。

成長したものを捕獲するしか

このような動物は

人間と暮らすことはできません。

恥ずかしがり屋な性格

私たち人間のように

繁殖行動を見られるのが

嫌な動物もいます。

例えば、チーターがそのようです。

古代においては

エジプト人やアッシリア人、

近代になってからはインド人が

野生のチーターを捕獲し

飼い慣らしていましたが

多くの裕福な王族たちが

相当の私財を投げ打って

チーターを繁殖されようといましたが

ことごとく失敗に終わっています。

チーターの繁殖行動は

何頭かの雄が一頭の雌を何日間か

追いまわします。

この壮大かつ荒っぽい求愛行動が

あって初めて雌は排卵し

発情することになるのです。

このようなことが檻の中で

飼われているチータはこのような

求愛行動をしにくいのは

納得できます。

しかし、家畜として飼われるのであれば

交配や繁殖のコントロールが

必要になってきます。

飼い主を後ろから狙っている気性

ある程度以上の哺乳類は

人殺しができます。

例えば、食肉として重宝しそうな

グリズリー(くま)のような

ものは

何頭も同じところで飼われていたら

いつ、襲ってくるかわかりません。

アフリカ水牛も人を殺すほど

危険でなければ良い家畜になっていた

であろうが

アフリカ水牛はアフリカ大陸の

大型哺乳類の中でも

最も危険であるだけでなく

予測のつかない行動に出るので

家畜として飼うにはふさわしく

ありません。

しかし、

これらの動物は獰猛であることは

知られているので

それほど驚くことはないのですが

獰猛で危険であることが

あまり知られてない動物もいます。

例えば、

シマウマなどはどうでしょう。

家畜化に成功すそうな馬類で

荷車につなぐこともできたことので

家畜化の試みにおいて

成功したと言えるでしょう。

しかし、それほど普及しなかったのは

歳をとってくるっと

気性が荒くなり、

人に噛み付いて離さないという

不快な習性があり

毎年シマウマに噛まれて怪我をする

飼育員はいうには

虎に噛まれるより多いのです。

また、シマウマに縄をで捕まえる

こともほとんど不可能に近く

投げ縄が飛んでくると

ひょいと頭をさぜてよけて

しまうので捕まえることが

できません。

したがってシマウマに鞍をつける

ことは

ほとんど無理なのです。

そのため、南アフリカで熱心に

試していたシマウマの家畜化は

だんだん関心が薄れていまいました。

彼らは大型で危険な動物であり

いつ攻撃してくるかわからない

気性の荒い動物であることが

家畜化に影響を受けているという

ことです。

“繊細さん“的な性格

大型の草食哺乳類は

捕食者や人間に対してそれぞれ反応が

違います。

神経質でビクビクしていて

危険を感じたら

一目散にかけ始めるものや

さほど、神経質でもなく

動きものんびりしていて

危険を感じると

群を作ってそれが去るまで

じっとしていて、最後の最後まで

息せき切って逃げ出すようなことは

しないものもいます。

シカやレイヨンの仲間の草食動物は

個体がたくさんいるので

家畜化できれば食料の安定供給に繋がる

のですが

彼らを囲いの中に入れると

パニックを起こしショック死してしまうか

逃げたい一心で

死ぬまで柵に体当たりを繰り返す

ようなところがあるので

家畜に向いていないのです。

序列性のある集団を形成しない問題

野生馬の群はリーダーの牝馬を

決めて

それに従って他の牝馬もついていく

ような序列がしっかりしています。

このような動物は

家畜化し人間の手によって

育てられると

人間をリーダーとして群の統制が

はかれるので

家畜としてうってつけの動物と

なります。

羊ややぎ、牛、そして狼?も

野生馬の集団に似た序列性を持っています。

このような集団で暮らせる動物は

お互いの存在に寛容なので

まとめて飼うことができるのです。

また、野生では身を寄せ合って

暮らしているので

混み合った状態で

飼育してもうまくやっていけます。

しかし、群ごとの縄張り意識が強い

シカやレイヨンは上記の理由以外でも

群れで暮らせても自分たち以外の

群には敵対し、特に繁殖期になると

雄同士の激しい戦いなどが起こり

囲いで飼うことができなくなります。

はっきりした序列を持たず

リーダーを本能的に刷り込み

記憶する習性がないので

人間を群のリーダーにすることがないため

家畜として飼うことは

できません。

自分より序列が上と認識したメンバーに

服従するという習性が

家畜化には必要な条件なのです。

まとめます

シマウマがこれほど気性が荒いとは

知りませんでした。

本書では

大型草食動物の「大型」を

「体重45キロ以上」として定義して

それらの家畜化がされていく中での

歴史などが書かれてあるのですが

そのうちの家畜になる条件に絞って

読んでみました。

著者は「由緒ある家畜」と

数ある中で歴史的家畜となっていった

動物をそのように呼んでいますが

次第に人間が社会に生き残れるには

どうしたら良いのかという

条件のようなものに

勘違いしそうな内容となっていると

思たのがおかしく虚しく感じて

きました。

銃と病原菌と鉄
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