病原菌はなぜ変異するのか?『銃・病原菌・鉄 上』ジャレド・ダイアモンド著

銃・・病原菌・鉄銃と病原菌と鉄
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狩猟採集社会から農耕生活となり

自ずと集団生活を余儀なくされる

ようになり、

動物性の栄養は家畜をたくさん飼う

ことによって得ることとなります。

そのことで、人間も動物も密度の高い

生活をしていることで

動物から人へ、人から人へと

病原菌が移動する危険に晒される

ようになりました。

長い歴史の間

人類も病原菌もそれぞれ

種を絶やさぬように

必死で進化を遂げています。

今回はそんな病原菌の進化に

ついて書かれた本書の一部を

紹介します。

病原菌の巧みな適応

人間と動物との密接な接触が

増えたため

私たちは、常に動物の撒き散らす

病原菌にさららせています。

しかし、

全ての病原菌が人間の病気として

進化するわけではありません。

動物からの恐ろしい“贈り物“は

4つの段階を経て

人間だけがかかる病気へと

変化します。

第一段階:直接うつされる病気

例えば、

猫に引っ掻かれてかかる猫爪病、

犬からうつるレプトスピラ症、

鶏やオウムからうつるオウム病、

牛からうつるブルセラ症などは

この種の病気です。

これらの病気の病原菌は

まだ進化の途上にあり

人から人へと感染することは

ありません。

第二段階:人間間で感染し始める

もともと動物のものだった病原菌が

人間のあいだで感染するようになり

流行するようになる段階で

全員かかって免疫をつけるか

治らずに死んでしまうかで

収束していきます。

例えば、オニヨン・ヌオングという

熱病は1954年に東アフリカに突然現れ、

数百万人の感染者を出しました。

このウィルスはもともと猿のウィルス

でしたが

蚊を介して人間に感染したと

考えられていましたが患者はすぐに

回復して免疫を獲得して

流行は収束しました。

その他、

フォートブラッグ熱や

イングリッシュ・スウェティング・シックネス、

カルディー・スウェティング・シックネス

などの流行し、数時間で死んでしまう

恐ろしい病気であっても

これらは急速に現れて

それらの原因になる病原菌を

特定する間もなく姿を消して

いきました。

第三段階:絶滅されない病原菌

動物由来であり人に感染したが

上記のように絶滅せずかつ

将来的に大量の犠牲者を出すかも

しれない伝染性が強く致死率の高い

病気がみられるようになります。

例えば、

1969年ナイジェリアで初めて発症が

報告された齧歯類から人に感染する

ラッサ熱は

収容患者に一人でも出ると

病棟を閉鎖しなければならないほど

危険な病気です。

また、ライム病はネズミやシカに

寄生するマダニに噛まれた人間が

ダニの持っているスピロヘータという

菌に感染することで起こります。

もともと猿のウィルスから生まれ

1964年ごろに初めて人間の症例が

確認されたエイズなどもこれらに

あたり

致死率が高い病気ですが

これらの病気がこれからどのように

広まっていくか、

絶滅するかはわからない状態です。

これらは動物がかかる病気が

人間にうつった病気です。

第四段階:人間だけがかかる病気

ここからが病原菌の巧みな適応力に

よって、

人間の中で大流行を果たし

病原菌がより多くの子孫を残そうと

奮闘していく段階になります。

例えば、腸チフスはネズミに感染し

それからネズミに感染したのですが

チフス菌はもっと効率良く

自分たちを広めるには

もっと動きやすいシラミを媒介に

使った方が良いと考え

シラミに乗せて自分たちを伝播しようと

しましたが

アメリカ合衆国では

シラミはほとんど駆除されてしまい

それで困ったチフス菌は

アメリカ東部に生息するムササビに

感染し

ムササビが住処とする屋根裏から

人に感染するというルートを

開拓しました。

病原菌は生き残りをかけて進化する

とにかく病原菌は自然淘汰されて

絶滅しないために

あらゆる進化を遂げていきます。

例えば、オーストラリアのウサギの

あいだで流行した粘液腫症は

ミクソーマウィルスの感染症で

もともとは野生種の

ブラジルウサギ特有の病気だったのが

種の違うヨーロッパの飼いウサギにも

致命的な集団感染を引き起こしました。

オーストラリアでは

十九世紀に持ち込まれた

ヨーロッパウサギを駆除して

農作物に対する被害を食い止めようと

ミクソーマウィルスを

持ち込みました。

最初の年(1950年)には

ミクソーマウィルスは感染したウサギを

99・8%駆除できたのですが

2年目は90%、

数年後のは25%程度に落ち込んで

結局、撲滅には至りませんでした。

このことからも

病原菌は宿主のウサギが死にすぎても

自分たちが増殖することができなく

なるので

いずれ宿主は死ぬにしても

できるだけ死なせないように

自分を変化させて利益を得ようと

した結果、

致死率の高かったミクソーマウィルスは

致死率の低い菌へとなり

多く繁殖していったのです。

人の病気でも「梅毒」という

病気があります。

治療せずに放置すると

ゆっくり何年のかけて進行し

やがて死に至る病気です。

しかし、この病気も1995年に

ヨーロッパで初めて記録された

梅毒の症例は

患者は頭から膝まで嚢胞に

覆われ、

顔から肉が削げ落ち

たった数ヶ月で死亡してしまう

病気だったのです。

ところが1546年になると

今日の私たちが知るところの

症状に変化していったのです。

前例の粘液種症も梅毒も

感染者がより長く生きて

菌を周囲に振りまき続け

自分の子孫が伝播できるように

変化する必要があったのです。

まとめます

病原菌もはじめは単純に

動物に感染し子孫を増やそうとしますが

限られた種だけしか

伝播できないのならより多い種に

取りつく方が多くの子孫を残せると

考えた時

動物から人へ伝播することを

考え始め、より人間に伝播できるには

どれを介すればいいか見極め

人への伝播が成功したら

今後は、できるだけ多くの人に

伝播するにはどうすれば良いか

考え、さらに宿主となった人が

すぐに死んでしまったり

免疫を獲得してしまっては

繁殖が止まってしまうので

宿主がすぐに死なないかつ

免疫ができにくい形と進化を

遂げていきます。

病原菌も人間の生き残りを

かけて必死なのです。

銃と病原菌と鉄
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