愚痴を言う人ほど辞めない『やりがいのある仕事という幻想』森博嗣著

やりがいのあり仕事という幻想やりがいのある仕事という幻想
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「あ〜こんな仕事もう辞めたい」と

言っている上司や後輩がいると

「この忙しいのに辞めてしまったら

 仕事が回らない」と心配しているのに

意外とそんな人は辞めないのに

周囲の人ともうまくやっていて

楽しそうに仕事をしている人が

突然辞めてしまったりすることが

あります。

それは一体、なぜなのでしょうか?

本書にそれに触れているところが

あったので紹介したいと思います。

周囲の言葉は当てにならない

どんな仕事でも外から見ていては

わからない部分があります。

そこで働いてみて、

初めて大変さがわかったり、

また逆に

意外と簡単じゃないかと思うことも

あるでしょう。

人から聞いた話でイメージしていると

現実の仕事との違いを

非常に感じてしまう

ことがあります。

なぜ、

このようなギャップが起こるのでしょう?

全く同じ環境や能力ではない

先輩などから経験談を聞くことが

多いと思いますが

著者はそれ自体悪いことではない

と言っています。

しかし、同じ職場であっても

全く同じ環境で働くわけではないし

人間のタイプも能力も感じ方も違う

と言うことを考えておかなくては

ならないということなのです。

人は本当のことを言うとは限らない

それ以前に人間は本当のことを

言わないものだということが

あります。

楽しくても

「忙しくて大変」と顔をしかめる人も

いれば

凄く辛いのに「やりがいがある」と

人前では溌剌として振る舞うことが

あると本書では指摘しています。

愚痴を言う人ほどやめない

著者が指導していた学生で

企業に勤めたものの一年とか

二年で辞めてしまった人が

何人かいて

彼らに共通するのは、事前に

「仕事がつらくて大変です」とは

言わない人たちだったと言うのです。

そして、どちらかというと

最初のうちは仕事が楽しいとか

面白いとか話をする人が

あるときあっさり辞職して

しまうと言います。

愚痴を零す人は離婚しない

著者は離婚においても

この傾向があると言っています。

配偶者のことを自慢したり

褒めたり、

こんな楽しいことがあった、

と惚気話をする人の方が離婚して

しまうというのです。

逆に、愚痴を零す人の方が

離婚しにくいようです。

言葉の表裏で逆の傾向なことが起こっている

なぜ、このように言葉のイメージと

逆なことが起こりやすいのでしょう。

言葉で良くなるように言い聞かせている

人間というのは

やっぱり機械のように単純ではない

と言うことなのでしょう。

著者が考えでは

良い話をする人は

「そうなれば良い」と言うふうに

自分に言い聞かせている面があり

不満があっても

良いところを見よう、楽しいことを

考えようとして

それでも我慢ができなくなってしまう

から突然やめることになると

言うことのようです。

悪いことに目を向ける余裕がある

逆に愚痴を言う人は

結構、現状に満足している人が多く

悪いことに目を向ける余裕があり

悪い話を人に聞かせても

自分の立場が揺らがない

自信があるのではと著者は

推測しています。

このように、表裏で逆の傾向にある

他者の言葉を真剣に受けとると

肩透かしを食わされたり

想定外のことに落ち込んだり

してしまうと言うことなのです。

まとめます

周囲の話を聞いて

それを聞きすぎると

実際と違った印象で仕事に臨むこと

になり

そのギャップに苦しむことに

なることもあります。

そして、実感として

「やめる、やめる」と言っている人に

限っていつまでも辞めずにいるのに

対して、いつも愚痴を言わず

周囲ともうまくいっているような人が

急に辞めてしまったりが

やはり、多いと私も思います。

それは、「嫌だ、嫌だ」と言っているが

ネガティブな言葉を発することが

できるほど余裕があるとも

言えるのだと

あまり、言葉通りに鵜呑みに

していると大事な仕事や生涯の

パートナーを失いかねないと

本書を読んで

ハッとさせられました。

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