【無関心】①想像以上のリアリティーの喪失『リアルワールド』桐野夏生著

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2003年に発行された作品で

当時は自分たちの学生時代とは

様子が違うなあと感じました。

携帯電話が普及し

常に相手の様子がわかるように

なったにも関わらず

そのことに影響されることなく

感情も持たない。

却って、

自分の闇に一人で沈んでいく。

そんな私の知らない“リアル“を

知ることとなった作品です。

お隣さんが殺人犯!

トシ(十四子)は高校3年。

ある日、

隣の男子進学校に通っている同級生が

母親をバットで殴り殺してしまう

事件が発生します。

そんな騒がしい中、

トシは自転車と携帯を盗まれます。

自分の携帯に連絡すると

出たのは、母親を殺害した

隣の男子生徒であった。

トシは好奇心から通報せず

携帯だけ返してほしいと

ミミズ(トシは心の中で

この男をそう呼んでいた)に

頼み承知するのだった。

このトシが通報しなかったこと

から

トシの友達4人が

事件に巻き込まれていく。

ホリニンナ

トシはカラオケ屋などにいくと

自分を「ホリニンナ」と名付け

会員証やアンケートでは

エセの名前で登録している。

勝手にコンピューター登録をされて

しまうので

トラブル防止のため“エセの名前“を

皆がもちこれぐらいの「武装」は

大人にいいようにされないために

必要だと友達にアドバイスを受け

実行している。

ミミズの世界なんて知りたくもない

捜査がトシに及び

ミミズのことを尋ねられるが

「違う世界の人」って感じだと

応える。

ミミズの世界なんて

知りたくもなかったからだ。

あたしは自分がいいと思ったり

怖いと感じる世界に生きているんだし

それが他人と同じなんて

お目出度いことを考えるのは

小さい時にやめた。

みんな同じだと思って、

それを迂闊に口に出すと、

猛反発を食らうことがある。

人は他人が自分と違うことが

許せないのだ。

リアルワールド 桐野夏生

あたしたちは、親とも違うし

教師とも最初から別人種。

学年がひとつ違うだけで別世界。

つまり、敵に囲まれてたった一人で

暮らすことになるからだ。

リアルワールド 桐野夏生

例え、母親殺しの犯人であっても

接触を試み、その事件について

触れず「携帯を返してほしい」と

依頼するだけで通報もしない。

このミミズを“別世界の人“と

言い放ちます。

そこに恐怖感や異常感はないのです。

まとめます

これだけ聞いても

現在と昔では子供たちの置かれている

現状は厳しいものがあると

察しできます。

母はいつもわたしに

「どうしてあんたたちは傷付くのを

 怖がるの。

 たいしたことないじゃない。」

 とか説教するけど

 自分が経験してきた「傷付き方」

 しか想像できないから、

 今の子供がどれだけ脅威に 

 囲まれていて騙されたり、

 苛められたり、などの

 「傷付く」ことどもが、

 ものすごいダメージだってことが

 わかっていない。

リアルワールド 桐野夏生

そうなのです。

自分たちの想像を遥かに超えた

世界の中で子供たちは戦っている

ということを知らなくては

ならないと言うことでしょう。

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