【単行本】父親が命をかけて息子に伝えたかった事『麒麟の翼』東野圭吾著

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一見、親切で親身になってくれる人が

実は、ただの自分の保身だけに

走っているだけの人や

ぶっきらぼうで寡黙だけれど

相手ことを深く考えたり

している場合とがあります。

数ある東野圭吾の作品の中で

2012年、映画化されただけあり

シリーズの中でも

読みごたえのある作品です。

映画の主題歌 JUJUの「sign」を

聴きながらもう一回読みたいと

思います。

あらすじ

胸を刺された男が日本橋の上で

息絶えた。

その男は青柳武明五十五歳で

妻と息子と娘の四人家族で

建設メーカーの部長。

日本橋の中庭に置かれた

装飾柱「麒麟像」の台座のあたりに

までよろよろと歩いて行き

もたれかかったのを

巡査が見つける。

胸にナイフが刺さっていた。

息子、悠人はある秘密を抱えていました。

その“秘密“を知ってしまった

父親はその“秘密“のために苦しんでいる

悠人のために奮闘します。

そのことが事件のきっかけに

なっていると勘付いた加賀警部補は

その“秘密“を明らかにすることが

事件の解決のきっかけとなると

考え、

悠人にその“秘密“を打ち明けるよう

迫っていきます。

そして、悠人は父親の最後の様子から

父親が何をしようと

していたか気付かされます。

加賀警部補たちに揺さぶりを

かけられた悠人は

中学三年生だった時の水泳大会後、

後輩の吉永がプールで溺れ

今も意識不明になっているのは

自分たちが足を引っ張ったことが

原因であったことを

加賀警部補に告白します。

このことで、事件は解決するのです。

父親は死をもって息子を正す

偶然、息子の“秘密“を知るのです。

その秘密は

中学三年生の時の水泳大会でのこと

メンバー四人の中で唯一二年生だった

吉永はこの大会で振るわず

みんなの足を引っ張りチームは

良い成績が出せず

みんなもともと泳ぎのセンスがある

水泳部顧問になじられる。

吉永を妬たみ、この時ぞばかり責め立て

夕方の学校のプールに忍び込んで

“特訓“として吉永を泳がせます。

その時、一人が吉永の足を持ち

手だけで泳がすのですが

その時、次の“足持ち役“と

交代するために手を離した時

暗かったせいで吉永を

見失い見つかったときには

プールの底に沈んでいたのを

蘇生するがうまくできないところに

糸川水泳部顧問が見回りにきたところで

問題発覚を恐れ

生徒は帰して、自分が吉永を発見した

ように見せかけたのでした。

しばらくして、今でも吉永は

意識がなく母親の介護の元

暮らしていることを吉永の母親の

ブログを見て知ったのです。

悠人は“女性“の名前を使って

定期的に吉永のために水天宮に

千羽鶴(毎回百羽ずつ)備えている

写真を母親にメッセージで送っていた。

そのことで誰か知らないが

自分の息子の回復を祈ってくれて

いると喜び書き込んでいた。

それを、ひょんなことから

父親に見つかったため

発覚を恐れてやめてしまう。

父親は息子の代わりに

その祈願を続け、メッセージを

息子の代わりに送り続けた。

そした最期は刺された後も

息子にメッセージを残したくて

吉永の母親のブログのタイトル

『キリンノツバサ』(日本橋麒麟像)

の前まで行き息絶えたのです。

瀕死の状態で日本橋を目指した

父の気持ちがわかるような

気がした。

武明は息子に伝えたかったのだ。

勇気を出せ、真実から逃げるな、

自分の信じたことをやれ、と

麒麟の翼 東野圭吾著

最期に命をかけてませ息子を正すのは

やはり、親の情なのでしょうか?

息子は父の行いと死で

自分がどんなに恥ずかしい人生を

送っているかに気づき

2度と同じ間違いを繰り返さない

ために

逃げずに目を背けずに

その事件にしっかり向き合うが

大切だとわかったのです。

一人の教育者の指導で生徒の人生が狂う

加賀警部補は糸川先生(水泳顧問)を

責めます。

一番のクライマックスとでも

言いましょうか?

この作品で一番言いたかったのは

これではないかと…

「ふざけるな。何が傷つけたくないだ。

あんたは何が悪いかわかっていない。

なぜ、杉野

(悠人の同級生で大会のメンバーの一人)が

青柳さんを刺した後

自首しなかったと思う?

それはあんたが間違ったことを

教えたからだ。

過ちを犯しても、ごまかせば

何とかなる

三年前、あんたはあの三人にそう

教えたんだ。

だから杉野は同じことを繰り返した。

青柳さんは、

あんたに間違った教育を施された

息子に正しいことを教えようと

したんだ。

それがわからないなら

教師なんか辞めろ。

あんたに人を教育する

資格なんてない」

麒麟の翼 東野圭吾著

この教師は罰せられませんが

罪はとても重いです。

そして、一人の生徒が人を殺めて

しまいます。

刺した相手(悠人の父親)が死ねば

バレずに済むとことを

このときに“学んだ“のです。

このときにしっかりと過ちを正す

勇気を持たせてあげていれば

杉野が悠人の父親を刺すことも

その発覚を恐れて

自殺しようとすることも

なかったのです。

それだけ、子供の教育に

携わると言うことには

責任があるのです。

まとめます

この父親の思い

瀕死の状態ですら

息子を導こうとする親心。

加賀警部補の父親との関係とも

ラップさせて

この事件は加賀自体も

父親の存在意義を改めて

感じることになるのです。

面白いですね。

ラストは吉永の母親に許しを負うために

軽井沢へ行くのです。

これも勇気がいるでしょう。

しかし、父親と加賀に導かれたお陰で

同じ過ちを繰り返さない

人生を歩めるのでしょう。

父親の気持ちがわからない

息子たちも多いでしょうが

これを読めば、寡黙で存在感のない

父親像が変わることでしょう。

麒麟の翼
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