【あらすじ】運命に身をまかす従順な厨子王 山椒大夫 森鴎外著 【感想】

高瀬舟 山椒大夫山椒大夫
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父親を探して母親と一緒に旅に出た姉弟。

その途中で人買いに拐われて

母親と離れ離れになり

山椒大夫に買われた姉弟は奴隷として

薪拾いや海水汲みをさせられます。

ある日、姉弟揃って同じ夢を見ます。

その夢は額に烙印を押される夢でした。

逃亡を図った者への罰なのです。

そこで、姉は弟を逃す決心をします。

安寿入水する

逃亡をしたいと姉弟で話をしていたのを

山椒大夫の息子三郎に聞かれてしまった

事で、二人はその晩同じ夢を見ます。

額に烙印を押される夢です。

そして、夢から目覚めたとき

いつも大切に持っていたお守りの

地蔵尊の額に十文字に傷がついていた。

安寿はこれを「厨子王を逃せ」と云う

暗示と捉えた。

厨子王を逃すキャンスを得ようと

男の厨子王と同じ仕事にしてもらうため

女の象徴の長い髪の断髪を許し

ある日厨子王と共に

山へ芝刈りに行く。

そして、

厨子王に逃げる道、場所を示し

お守りの地蔵尊をもたせ

すぐ行くよう促す。

「そうですね。

姉えさんの仰ゃる事は

まるで神様か仏様が

仰ゃるようです。

わたしは考を極めました。

なんでも姉えさんの仰ゃる通に

します」

山椒大夫 森鴎外著

追手を少しでも食い止めようと

安寿はその道中の沼で入水する。

中山の国分寺の僧侶、曇猛律師に助けられる

姉に言われた通りひたすら走り

国分寺にたどり着く。

そこへ察した三郎が追ってくるのだが

厨子王を匿った律師は知らぬ存ぜんを通す。

しばらくして

頭を剃って、三衣を着せられた厨子王を

従えて、都まで行き

厨子王がお守りとして持っている仏像は

それを頼りに父母を探すことが

できるものなのでそれを

大切に持っておくように伝え

そこで厨子王と別れる。

亡くなった姉と同じ事を言う

坊様だと

厨子王は思った。

山椒大夫 森鴎外著

東山の清水寺で関白師実に助けられる

都へ来た厨子王は清水寺に泊まり

そこで、参籠していた関白師実に

出会う。

師実は夢のお告げで

童の持った守本尊を借りて拝めば

娘の病気が治ると言われたので

その場にいた厨子王に尋ね

厨子王が待っている仏像を渡す。

そして、

その仏像は効果を発揮し、さらに

身元の証明にもなったので

師実によって国守に任命され

出世する。

厨子王、国守になる

そこでまずは

丹後で人の売買をしていた

山椒大夫たちに人の売買を

禁じた。

そして、安寿を丁重の弔った。

そして、母が渡ったであろう

佐渡へ行き、歳終えた母親と

再会する。

父親の平 正氏は左遷先の筑後で

亡くなっていた。

まとめます

母と姉に従われて父親探しの旅に

出たら、拐われて

奴隷される。

そこでの暮らしから姉の助けで

抜け出し、良い坊様と殿様に

会い、出世し

再び、拐われた地へ赴き、

同じような目にあっている人々を助ける

母を探すために佐渡へ行くお許しも

得て、母親と再会。

父親はなくなってはいたものも

消息は知ることができた。

厨子王は終始、強い怒りや憎しみ

恨みを抱くことはなく

ただ、人や仏を信じ悲しみに

耐えた結果、

望んだ人生へと誘われた。

(安寿と父の死は避けられなかったが…)

反骨精神とは無縁な厨子王の

“おぼっちゃま“ぶりはこの時代の

やるせなさ(実力でもどうしょうない

明日はどうなるかわからない)

を強調したかった作品かもしれません。

山椒大夫
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