【考察】やられたらやり返してもいい?猿蟹合戦 芥川龍之介著

芥川龍之介猿蟹合戦
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御伽話では、子蟹がママ蟹を殺した

猿に復讐する話で

猿はとっちめられて、読者は

すっきりするところなのですが

本書では、この御伽話の後の

蟹たちの話えが書かれています。

しかし、それは私が『猿蟹合戦』を

読んだ後に想像したのちの話とは

違っていました。

蟹は死罪、臼、蜂、卵は無期刑

めでたく復讐を遂げた蟹たちは

その後、得心して幸せに暮らした

のかと思いきや

警官の捕縛する事になったと

本書では語られている。

そして、主犯の子蟹は死刑

共犯の他のものは無期徒刑となる。

一通の証書も取り換わしていない

子蟹自身の証言では

握り飯と柿を交換したが猿は

熟柿ではなく青柿を渡しただけではなく

ママ蟹に傷害を加えようと

青柿を投げつけたと言うけれど

ママ蟹と猿の間には

証文もなく猿が柿を渡すのに

塾柿でなければいけないと断って

いない。

青柿を投げつけたのも

悪気があったかどうかわからない。

そんな証拠はないのだ。

裁判ではこのような事で

負けてしまい

子蟹は死刑にされてしまう。

世論も子蟹の猿殺しを非難し

弁護士にも「あきらめ給え」と

言われてしまう。

蟹の猿を殺してのは

私憤の結果に他ならない。

しかもその私憤たるや

己の無知と軽率とから猿に

利益を占められたのは忌々しがった

だけではないのか?

優勝劣敗の世の中にこう云う

私憤を洩らすとすれば

愚者にあらずんば狂者である

猿蟹合戦 芥川龍之介著

と云う批判が多かった。

ママ
ママ

そこまで言わんでも…

半沢なら倍返ししてる

確かに自分の親が殺されたから

と言って

復讐のために相手を殺してしまうのは

今の世でも「殺人」になってしまう。

復讐は善とは称し難いと著者はこの作品で

語っています。

蟹は仏の慈悲を知っていれば

猿の所業を憎むよりそれを

憐むことができたはずだと

言っています。

それを知らない蟹が悪いと

非難されます。

仏はいつもやられても

倍返しどころかやり返さない

のですから…

その他、本書では

蟹は柿や握り飯などの私有財産

ばかり尊み

臼や蜂、卵は反動的思想を

持っているなどと語られています。

君たちも大抵蟹なんですよ

とにかく猿と戦ったが最後

蟹は必天下の為に殺されること

だけは事実である

猿蟹合戦 芥川龍之介著

ひどいことをされたからと言って

復讐したり倍返ししても

それを

本書では美徳と扱うことなく

相手と同じように天下によって

罰せられる事になるとしています。

それは

蟹たちはだけに限らず

みんなもそうなのですと

著者は語っています。

まとめます

この小説は一見、ちょっと気軽なパロディ

のようですが

やられたらやり返すことを

正当化したこの御伽話をただの

センティメンタリズムだと両断して

いるところから考えて

復讐の虚しさを語りたかったのでは

ないかと思いました。

猿蟹合戦
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