【感想】生きる気力を呼び戻した母の声 / 杜子春 / 芥川龍之介著

芥川龍之介杜子春
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このお話は中国の唐の時代の話。

落ちぶれたおぼっちゃま杜子春が

本当の幸せとは何かを悟り

生きる気力を取り戻す物語と

なっています。

そして、子育てに疲れた母さんにも

必見のストーリーになっています。

母として涙なしでは読めない内容と

なっています。

なくなるお金も人脈もいらない

中国、唐の都洛陽という栄えた町で暮らす

元お金持ちの息子だった杜子春は

財産を使い果たして

食べること、寝るところにも困る

ありさまで

落ちぶれて空を眺めていますと

片目眇(すがめ:片目が悪い)老人が

杜子春を見かねてお金を与えます。

一気にお金持ちになる杜子春。

物も人も杜子春の屋敷に集まり

毎日、盛大に暮らしていましたが

2〜3年でお金は尽きて

また、以前の生活に戻ります。

落ちぶれた杜子春にまたお金を

与えます。

するとまた、杜子春の周りには

人や物が溢れる生活となります。

そして、予想通りまた

元の貧乏に戻ってしまい

人も物もすっかり寄り付かなくなり

ボーと空を見ていると

また期待通り

老人が現れ、「何やってるねん!」

なんか言いながらも、またお金を

出そうとした途端、

「お金はもういいです。」

ママ
ママ

そりゃそうでしょうw

「弟子にしてください。仙人になりたいです。」

ママ
ママ

金を出す仙人になると言い出すとはw

それから、杜子春の修練が始まります。

口を聞いてはいけません!

峨眉山の一枚岩の上で修行を命じられた

杜子春は仙人に

「誰がなんと言おうが口を聞いてはならない!」

と約束させられます。

そして、杜子春は言いつけ通り

身を引き裂かれ、皮を剥がされ

目玉をくり抜かれても

一言も口を開きません。

一言話してしまえは楽になれるものを

頑として口を開かなかった杜子春。

たまりかねた閻魔大王が次に仕掛けた

ことは、

父母を連れて来て骨や皮が砕けるほど

打ち付けること。

それを見ても杜子春は口を開きません。

その時、母親の小さな声が聞こえます。

「言いたくないことは言わなくていい!」

と…

そこで「お母さん」と言ってしまい

ゲームセット。

仙人にはなれませんでした。

本当の「幸せ」とは?

ある意味、欲のない杜子春。

そんな杜子春は洛陽の西門でぼんやり

空を仰いでいました。

母親を亡くし、

生きる気力がなかったのかも

しれません。

そんな杜子春に対して仙人は

どうにかしてあげたくなったのでしょう。

そして、

老人は杜子春が望む、望まない

関係なくお金を出してあげる。

そして、出されたものだから

また、使ってしまう。

また、空を仰いでいる。

ただ、漂うように生きている。

まだ、

生きる気力が湧いてませんね。

杜子春は望むものを簡単に

出してもらうことを今度は

拒否します。

お金はいずれなくなって人も物も

去って行ってしまう虚しさを知り

疲れてしまったのでしょう。

そして、老人を仙人と見破り、

弟子にして欲しいと頼みます。

そして

過酷な(死んでしまうほどw)修行にも

淡々と耐えていました。

そんな、虐待紛いの試練にも

気力もなく

喜怒哀楽の感情に乏しい杜子春が

父母への仕打ちにも辛うじて耐えていたのに

母親の

「心配しないで、

 言いたくないことは黙って御出で」

の声を聞いただけで言葉を発してしまう。

仙人は「あの時、お前が黙っていたら…」と

命を絶たれるところでした。ふー

ママ
ママ

あれ?一回地獄へ行ったのでは?

杜子春は仙人になれなかったけれど

生きる気力を取り戻し

正直に人間らしく生きることを

誓うのです。

そんな杜子春にもう自分は現れないと

仙人は告げました。

感想

これは母親目線ですが

財産は残して死んでも

子供がしっかりと生き続けてくれるか

心配でならなかったと

思います。

母親の

「言いたくないことは、言わなくてもいい!」

という声を聞いて

「自由に思いのまま生きたらいいのよ。」

と聞こえたのかもしれません。

その母親の気持ちが杜子春に

通じて生きる気力を呼び戻すことが

できたのでしょう。

杜子春
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