子供に童話で社会問題を語る『燕と王子』有島武郎著

一房の葡萄燕と王子
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オスカー・ワイルドの「幸福の王子」の翻案です。

細かいところを作り変え、

著者なりの作品になっています。

内容はあまり変わりませんが

やはり、王子に対しての“謙った“

表現が日本の同時の風潮を

物語っているようで

オスカーの「幸福の王子」とは

また違った趣がある作品でした。

著者は

母に死なれた幼い3人の子供たちに

父親なりの精神の糧を

与えたかったのでしょう。

子供に優しく語るように始まる

初めは子供に主人公の「燕」について

優しく語るところから始まります。

「燕は所をさざめず飛びまわり

冬には暖かい所へ“お引っ越し“をし

おとう様のおめしなる燕尾服のような

尾をもち、雀より大きく、

のどの所に赤い首巻きをしている鳥の

お話ですよ」

と語りかけています。

暖かい場所はナイル川?

お母様に地図を見せてもらうよう

促しながら

エジプトのナイル川の説明を

“世界中で一番大きい川“と語り

燕も飽き飽きするので

ドイツのライン川の方にも

いくことがあると少し、

“学習“めいたことも交えながら

お城や葡萄畑を登場させながら

話を加えていきます。

川ぞいで青々と茂った“葦“の出会う

ライン川の岸で“葦“と戯れ、会話する燕。

燕は優しい葦と過ごすことが

楽しかったのですが

夏がすぎ、冬が来ると葦は枯れかけて

燕が乗ると“ボキっ“と折れてしまった

ことを燕が謝ると

葦は

「痛かったけど、それより早く暖かい

 ところへいくように」と促します。

冬の霜はあなたを手を取って殺して

しまうことを燕に教え

生きて来年また会いましょうと

別れることを即しました。

青銅の王子に会う

燕は越冬のため、暖かい地を

目指すのですが

疲れて石畳にたたずむ

「王子の像」の肩を借りて休むことに

します。

王子は燕に話しかけます。

そして、動けない自分に変わって

やって欲しいことがあると

言います。

燕はこんな立派な方から

頼まれたことを光栄に思い

燕は貧しい人に王子から剥がした

金を配ります。

そしてもう、配る金がなくなった頃

あたりはすっかり冬になっていました。

そして、最後にはあたりを見渡す

瞳も貧しい若者に授けるように

燕にお願いします。

王子が目が見えなくなるのは

さすがに悲しかったのか

涙を流していると

燕も一緒に泣き出します。

それでも王子は

キリストは人間のために

十字架の上で身を殺したことを

思えば、こんなことで悲しむのは

弱いからだと自分を戒め

燕に瞳を若者に与えるように

促しました。

もう、最後は王子は宝石を💎得て

喜んでいる若者の姿を見ることが

できません。

燕、ナイル川に向かう

王子は燕に別れを告げます。

燕は拒否しますが

“葦“のように

「来年また会おう」と言われます。

燕は死んでしまったら

もう二度と会えなくなってしまう

からと説得され、

燕は南へ飛び立っていきます。

王子はみんなに施しをしたことなど

人間には知られず

見窄らしく朽ち果てて

取り壊されてしまい

次の年にナイルから燕は王子に

会いに来ましたが

どこにも

王子の姿はありませんでした。

王子は高い塔の鐘となって

鳴り響きなからそれでも

町の鬼や魔を追い払う役目を

果たしていたのでした。

まとめます

著者が作品に込めたかった思いは

子供の養育環境の問題の提議で

「子供の世界は大人の世界のごく小さな一部

 ではない独立した世界がある」と

言いたかったようです。

著者自身が男手一つで3人の子供を

育てたことが

その起因となっているようです。

子供だからといって

世知辛い世間に蓋をせず

童話を話しながら

それに絡めて社会問題を子供にも

わかりやすく諭していく

母の代わりではない父親ならではな

愛情を示した作品だと思います。

燕と王子
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