②シンパシーとエンパシーの違い『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』プレンディみかこ著

ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルーぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー
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この二つの言葉は似ているのですが

決定的な違いがあるようです。

自分と同じような気持ちを

相手が持っていると

その相手を理解しやすいのですが

自分との共通部分を感じることが

できない考え方や境遇である相手を

理解するのは

とても難しいことです。

どちらも相手に寄り添うという

気持ちには変わりありませんが

違いはあります。

本書を読みながらそれを理解する

機会となりました。

自分で誰かの靴を履いてみる

父はアイルランド人(白人)著者で母は

日本人(福岡)の間に生まれた

イエローでホワイトな息子は

名門小学校から白人労働者が

多数占める元底辺中学校へ入学し

キーステージ3(7〜9年生)になり

シティズシップ・エデュケーション

「政治」「公民」「市民」教育が

始まります。

そこで著者の息子は

「エンパシーとは何か?」と聞かれます。

日本語にすれば「共感」「感情移入」

または「自己移入」と本書では説明されて

います。

ここでは日本語に訳せば

empathyという

日本語の意味はわかりますが

英語圏の話なので日本語に

訳せても意味がありません

少年が先生から問われているのは

もう少し深いところの

意味なのでしょう。

そこでこの少年は

「自分で誰かの靴を履いてみること」と

答えました。

シンパシーとは何か

シンパシーは可哀想な立場の人や

問題を抱えた人、

自分と似たような

意見を持っている人々に

対して人間が抱く感情のことだから

自分で努力をしなくても

自然に出て来ることと本書では

説明しています。

エンパシーは何?

一方、エンパシーは

自分と違う理念や信念を持つ人や

別に可哀想だと思えない立場の

人々が何を考えているのだろうと

想像する力のことのようです。

シンパシーは感情的状態、

エンパシーは知的作業と言えるという

ことなのです。

これからは『エンパシーの時代』

英国ではEU離脱やテロリズムの問題や

世間で起きているいろんな混乱を

乗り切るためには

自分たちと立場が違う人々や

自分と違う意見を持つ人々の気持ちを

想像してみることが大事であると

いうことを少年は

授業で先生からでっかく書かれ

「これは試験に出るな」と

睨んでいます。

ホームレス支援団体のボランティアに参加

大雪で休校になったため少年は

著者の母とともに

イラン人の友人が行っている

ホームレス支援のボランティアに

出かけます。

大雪のため、普段路上生活をしている

ホームレスは

寝るところや食料の調達が

困難になっています。

また、雪に埋まってしまっている

人もいるかもしれません。

その人たちの救出と保護を

行っている人たちのサポートを

しようとしますが

著者はカフェで保護されている

ホームレスの人を見た息子の

目が潤んでいるのに

気がつきます。

すると、少年は

この匂いに耐えられないと

鼻で息をするのをやめていると

苦しい…と

訴えました。

少年は別室で手伝うこととなり

活動は継続することはできました。

善意とは何か

これらのボランティアは本来

機能しなければならない英国が

緊縮財政のため十分で

なくなっているため

住民自身が善意でやらなければ

ならないということを少年に説明します。

「“善意“はいいことだよね!」と

少年は言います。

「善意」は変わりやすい人の気持ちで

成り立っているので確固とした

システムではないので本当は

住民から税金をとっている

国の互助会がしっかり機能して

これらのホームレスの人たちの

シェルターを提供したり

パトロール隊が出たりする手配を担う

ようにしなければならないことを

少年に説明します。

そして、ホームレスたちに

「可愛い、可愛い」と可愛がられた

少年は形の歪になったキャンディを

もらい

「これは“善意“だね」

といった息子に

「頼りないかもしれないけれど

 でも、あるよね。」と答える。

感情的に同情できる、

同じ意見や境遇を持つもの同士には

“善意“は必要ないのです。

他人の靴を履いてみる原動力が

“善意“だと著者は感じています。

まとめます

少年はシティシップ・エデュケーションでは

成績もよくテストには何が出るかも

ちゃんとチェックしています。

そんな中、“エンパシー“とは何か?

考えます。

そして、言葉の意味は知ることが

できました。

そして、大雪の日著者と二人で

ホームレスたちの救済に出かけます。

ホームレスの人たちは

自分とは全く違う境遇と風貌

その匂いも虚な目も耐え難いものが

ありましたが

最後にはその全く自分とは違う

相手から“善意“をいただくまでに

なったのです。

この“課外授業“を通して

本当に“エンパシー“や“善意“の意味が

わかった少年でした。

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