【感想】【あらすじ】人間の人工化 どこまでが人間ですか?火の鳥 復活編 手塚治虫著

復活編復活編
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2482年の未来の話。

科学の進歩で体の大部分の代用が

可能になり人はなかなか死なない

状態になった。

そんな中、自分がロボットなのか

人間なのかわからなくなって

しまった青年レオナのお話。

あらすじ

24世紀、車も空を跳ぶ時代

そのエア・カーから投げ出された

青年レオナは死んでしまうはず

だったのに

なぜか生きている。

それは、

体の半分以上を“人工“のものに

置き換える手術をされたからだった。

世界初の人工神経細胞置換。

いわゆる、人工の脳みそになった

レオナは手術後

人間が岩やガラクタの塊に見え

ロボットが人間のように見える

ようになる。

生き物はガラクタに

無機物は生き物に見えるのです。

周囲の人や動物が

不気味で気持ちが悪く

レオナには映る。

そんな生活に絶望していたレオナは

町に飛び出し彷徨っていると

唯一人に見える

一人の美しい女性に出会う。

それは、チヒロ61289号という

見た目機械の人型

事務作業用ロボットだった。

レオナはまともに人間に会えたのが

嬉しくて接触を試みますが

雇われているロボットなので

自由に話すことができません。

レオナはチヒロを手に入れようと

頑張りますが

会社に機密を知っているチヒロを

手に入れることはできません。

チヒロとの生活を夢見ながら

レオナは次第に過去の記憶を

思い出します。

自分は

永遠の命が得られると言う

“火の鳥“を仕留め

その血を取ったが

そのことが、世間に知れ渡り

命を狙われることになった。

レオナは

血を飲んでいなかったため

一旦、死んでしまいますが

その“血“のありかを知りたがった

親類などによって

人間の復活を成功させたい

博士によって

生きかえさせられたのです。

それを思い出したレオナは

チヒロと逃亡します。

しかし、逃亡中に事故を起こし

二人は臓器売買組織につかまって

しまいます。

その組織の女ボスは

レオナを気に入ったのですが

自分はもう体はボロボロで

長くは持たないことを知り

レオナをわざと怒らせて自分を殺させ

無理心中します。

しかし組織のお抱えの医師で

再生の研究をしていたドクは

レオナの体で頭は女ボスになる

手術をします。

それは女ボスの遺言でありました。

レオナもドクに頼みます。

自分の記憶は電子頭脳に

取り込んでチヒロに入れて欲しいと

頼んで死んでいく。

レオナは人間の記憶を持つ

完全な

ロボットになったのです。

そして、チヒロとレオナだった

ロボットは他のロボットとは違い

人間らしい失敗やきげんが変わる

ロボットとして可愛がられ

人間の家庭で幸せに暮らす。

しかし、回路の寿命で業者は

そのロボットの複製を作っていった。

やがてそのロボットたちは

自分は人間なんだという

自我が芽生えるようになる。

そして、一体のロボットが

不当にスクラップにされたことで

ロボットたちは

集団自殺を謀り

自分たちは人間なのだと

証明し始める。

そして、

このような感情を持つ

ロボットは自殺によっていなくなり

以後それは旧型として

生産されなくなった。

月に残された一体以外は…

なぜ生きるのか

不老不死の火の鳥の血を

飲んでいれば

そんな手術をうけなくても

死ななかったレオナでしたが

飲んでいなかったのです。

そして、

その“血“に群がる人たちの前で

それを燃やします。

その時、

なぜ、不老不死の血を燃やしたのかと

非難されますが

レオナは永遠の命なんて

火の鳥がいなくても

簡単に手に入ることを

僕が証明してる。

問題は、永遠の命を手に入れて

なぜ、生きるかということだ

と言っています。

レオナにとっては

家族は自分の死を望み

好きな人とは引き離される

ような人生に

生きる価値はないと考えた

のでしょう。

自分だけが永遠の命を得たところで

みんなが死んでしまっては

ただの孤独しかない。

それをまた回避することも

できず、永遠に続くのです。

それがどんなに辛く残酷なことか

火の鳥を追い求めている人には

わからなくなっているのでしょう。

人間かロボットかはっきりさせてくれ

死んでしまったレオナを生き返らせた

ニールセン博士。

世界初の復活を成功させた博士に

もう一度死なせて欲しいと

頼むレオナ。

僕は人間なのでしょうか?と…

博士は自分の手術を誇らしく

思っていたので

堂々と

立派な人間だと言います。

人工頭脳、人工細胞、人工臓器、人工…

そんなことは問題じゃない

人間として生き返ったと…

レオナは言います。

もし、自動車が潰れて直す時

半分以上電車の部品と取り替えたら

それは自動車と言えるでしょうか?

いっそう全部作り物に変えて

くれたら良かったのだと…

確かに半分以上ならもっと

機械の部分を増やしたほうが

長持ちしそうですよね。

博士はそれではロボットになってしまい

自分が人間を復活させたことに

ならないと憤慨します。

レオナはロボットか人間か

はっきりされて欲しいと叫び

ロボットになりたいと

博士にすがりつきます。

チヒロのようにロボットに

なることも

人間としてまともに生きることも

できない。

ただ、命があるということ以外は

全て失ってしまったのです。

あんなにみんなが躍起になって

求めている“命“があることに

レオナは苦しめられるのです。

感想

作品のシリーズの中で『火の鳥』も

命の存続が神頼みだった時代編では

その貴重な存在が命の大切さの

メッセンジャーとして描かれて

いましたが

これほど科学が発展してくる

近代を描くには、

火の鳥の出番も少なくなりw

もう、人間の力で

永遠の命が作られる設定へと

移行している。

現実においても、

こんな日が来るのは

そう遠くないと

著者は

この漫画で40年以上前から

伝えているのです。

このコントロールすることができる

寿命をどこで終わられるかを

考えないといけないという

一見良さそうで

身の毛もよだつ恐怖にさらされる

覚悟が必要になってくるのです。

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