【感想】三四郎的草食系男子事情 ストレイ・シープ男子 三四郎 夏目漱石著

三四郎三四郎
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この小説に出てくる三四郎という

大学生は、今で言う

「草食系男子」とでも言うのでしょうか?

時代から考えれば

この小説に出てくる男性の

意気地なさは美徳だったのかも

しれませんが

女性にとっては不幸な事だった

かもしれません。

「あなたって余っ程度胸のない方ですね」

大学生活に期待を膨らませ

熊本から上京しようと列車に揺られて

いる途中、夫と音信が途絶えてしまった

と言う女性と出会う。

そして、名古屋で一旦下車した際

その女性から

「宿を一緒に探して欲しい」と

三四郎に頼んできた。

ある宿に泊まることになるが

二人は夫婦と勘違いされ

同じ部屋の一組しかない布団で

一晩過ごすことになる。

この女性は既婚者だか彼に

興味を持ったのか積極的であった。

青年が風呂に入れば

自分も入ってくるし、布団も一組しか

なくても平気だと言う。

三四郎の方は、えらいこっちゃと言う

感じで布団の真ん中に仕切りを作り

朝を迎えることになる。

その時「さよなら」の挨拶とともに

「あなたは余っ程度胸のない方ですね」

と云って、にやりと笑った。

三四郎 夏目漱石著

三四郎からすれば

「どうゆうこと?紳士的な態度だったのに

あの言われようは…」と

思ったことでしょう。

この先も三四郎はこの調子で物語は

進んでいきます。

ストレイ・シープ(迷える子羊)

三四郎は憧れの美禰子そして

大学の先輩や講師たちと一緒に

菊人形展に行きます。

そして、その盛況な場から一人外れていく

美禰子に気づき、後を追います。

どうやら、美禰子は気分が悪くなった

ようです。

皆の事も気にかけながらも

二人で近くの小川まで行きます。

三四郎にとって美禰子をめぐる

ライバルから引き離せた

この瞬間は、貴重なチャンス!

しかし、なぜか

「広田先生や野々宮さんはさぞ後で

僕等を探したでしょう」

三四郎 夏目漱石著

なんて呑気なふりをしている。

その点、美禰子の方が

「なに大丈夫よ。大きな迷子ですもの」

三四郎 夏目漱石著

「そんなん気にせんでもいいって。」って

感じの返事。

それなのに三四郎たら

「迷子だから探したでしょう」

三四郎 夏目漱石著

ってまだ話を婉曲している。

いや、今の女子ならイライラしちゃう!

三四郎は理系だから?

そしてさらに

「もう気分は宜くなりましたか。

宜くなったら、そろそろ帰りましょうか?」

三四郎 夏目漱石著

美禰子は三四郎を見た。

はあ〜?

要するに、自分が彼女を好きな気持ちを

知られる事を

恐れるあまりこんな事を言ってしまった

ようなのだ。

その時三四郎はこの女にはとても叶わない

様な気が何故かした。

同時に自分の腹を見抜かれた

という自覚を伴う一種の屈辱をかすかに

感じた。

三四郎 夏目漱石著

美禰子が三四郎を見たってだけで

三四郎はこれだけの事を頭の中で

ぐるぐるさせている。😆

美禰子は三四郎に

「じゃあ「迷子」って英語でなんて

いうか知ってる?」って

ともう半分呆れちゃって三四郎の

言った言葉に乗っかて言っている。

わからない三四郎に意味深に

「ストレイ・シープ わかった?」

もう、三四郎パニック!

ああ言えばよかった、

こう言えばよかったと後悔。

美禰子の「ストレイ・シープ」という

言葉もわかったようなわからないような

混乱してしまう。

これは、モテモテ美禰子自身が今、

誰にしようかと迷っているサイン。

あなたも候補なのよ、しかも

「迷っている事を教えてあげたのは

あなただけなのよ」的なのでしょう。

帰り際、足元が悪く美禰子は

三四郎に寄り掛かります。

その時も

「ストレイ・シープ」と美禰子は

つぶやきます。

そこで少し美禰子の気持ちに

気づきますけどね。

しかしまだまだ、

三四郎はストレイ・シープです。

美禰子、三四郎の耳元で囁く

三四郎は不本意ながら

美禰子に借りたお金を返しに

いくと、お金はいいから

展覧会に行こうと誘われる。

そこで、ライバル野々宮に遭遇。

少し、バツが悪いなあと三四郎が

思っていると

美禰子が側に寄ってきて自分の耳元で

何か囁いた。

それは、野々宮に三四郎との親しげな

姿を見せつけるためにやった事

だった。

普通ならここで優越感に浸れるし

自分の好きな人が自分のライバルを

前に

見せつけるような事ををしてくれたら

嬉しいようなものですが

なぜか三四郎不機嫌になります。

「野々宮さんを愚弄したのですか?」と…

戸口を出る拍子に互の方が触れた。

男は急に汽車で乗り合わせた女を

思い出した。

美禰子の肉に触れた所が

夢に疼く様な心持がした。

三四郎 夏目漱石著

恋愛や女性に対しての

憧れからリアルな恋愛へと

少し、大人になっていく三四郎が

伺えます。

ピュアなのはこの時代のせいでしょうか?

まとめます

結局、美禰子は三四郎でも野々宮でもなく

家同士が決めた相手に嫁いでいきます。

美禰子相手では三四郎も子供ですし

野々宮も勉学に心多く惹かれて

いますので片手間で愛せるほど美禰子は

簡単ではないでしょう。

もう少し、美禰子が結婚を待つことが

できれば三四郎も釣り合う男に

なっていたに違いないのですが

この時代、女はそう長くは待てないの

です。

「われは我が咎めを知る。

我が罪は常に我が前にあり」

三四郎 夏目漱石著

美禰子はこの様な時代でも

流れに少し抵抗したかったのだと

思う。

最後は自分で自分の道を決めたのである。

美禰子はもう「ストレイ・シープ」では

ないのです。

三四郎的草食系男子は

見た目立ち振る舞いは“草食“で

あっても

本当は熱い恋慕の気持ちを持っている。

どうしたらよかったのか

失恋してから考え込むストレイ・シープ男子。

個人主義の現在においても

この様な深愛草食系男子は

存在している様に思います。

三四郎
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